日本と世界との情報ギャップ・・・その二(山本紀久雄) | 清話会

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日本と世界との情報ギャップ・・・その二


山本紀久雄(経営ゼミナール代表)

この発言の意図は重要です。今までの温泉業界は、外国人に「合わせる」ことを考え、外国人に「すり寄っていく」という考え方が多かったと思います。

しかし、クローゾン氏の発言は、この考え方を真っ向から批判しているのです。今のままでよい、そのままの温泉が魅力だという主張です。

清話会 また、日本人は戦後65年間、アメリカから様々な価値観を押し付けられたと感じている人が圧倒的に多いと思います。しかし、アメリカ人から見ると、確かに押し付けてはきたが、そういうことになったのは日本人にも大いに問題がある。日本人は「自分らが何ものであるか」について、隠しているのではないか、それとも現代の日本人は他者に知らせるべき自己を持たないのではないか、という指摘もされています。(「日本人と武士道」スティーブン・ナッシュ著)

このナッシュ氏の指摘の背景には、クローゾン氏の発言との同質性があります。自国の文化や社会や歴史を正しく語ろうとしないのが日本人だ、という本質的な指摘であり、逆に考えれば外国人は日本人が意識していない「素晴らしい魅力がたくさんある国だ」という認識を持っていることになります。

ということを前向きにとらえれば、「世界に向けて情報化」編集する能力を発揮していない日本側に問題がある、と考えることがこれからの日本のために必要ではないでしょうか。

その日本に魅力があるという事実証明が、アシェット社の幹部二人とドイツ人化粧品店の女性オーナーの子供が、日本語を学んでいるということから推測できます。

欧米の子供たちは、日本のマンガを翻訳された言語で読むうちに、我々が気づかないところ、そこに日本の魅力を直感的に感じ、それを知るためには今の日本からの情報発信では不十分だから、直接に日本に行き日本語で尋ね知りたい、という欲望が高まってきた結果ではないかと思います。

つまり、日本には、欧米とまったく異なるものがある故だと思わざるを得ませんが、この事実を日本人は分かっていないと、これまた思わざるを得ません。



(毎月、時流解説を行っています) 
渋谷「山本時流塾」2011年1月21日(金)16時~18時
   講師  経営ゼミナール代表 山本紀久雄
   会場  ㈱東邦地形社 8階会議室 参加費1000円 どなたでも歓迎
        渋谷区神宮前6-19-3 東邦ビル 03(3400)1486
        (渋谷教育学園 渋谷中学高等学校前)

(山岡鉄舟研究会アドレス)
http://www.tessyuu.jp/

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清話会 山本紀久雄
1940年生まれ。中央大学卒。日仏合弁企業社長、資生堂事業部長を歴任。現在、㈲山本代表取締役として経営コンサルタント活動のほか、山岡鉄舟研究家として山岡鉄舟研究会を主宰。著書に『フランスを救った日本の牡蠣 』『笑う温泉、泣く温泉 』等がある。

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笑う温泉 泣く温泉―日本VSヨーロッパ・流行る温泉には法則があった!/山本 紀久雄
世界の牡蠣事情―世界14ヵ国、あなたの知らない牡蠣のすべて 2005-2010/山本 紀久雄