さあ、小沢氏はどう出る
花岡信昭氏(拓殖大学大学院教授、産経新聞客員編集員)
予想されてはいたのだが、本当に出てみると、やはり相当なサプライズだ。
小沢一郎氏がついに「強制起訴」されることになった。
あれこれ言いたいことはあるが、公判開始までにどの程度の時間が必要なのか。そこがひとつのポイントだ。早ければ年内という説と、来年になるという説がある。
小沢氏とすれば、公判がスタートしてしまうと、やはり政治行動は制約されるだろう。
となれば、それまでに動くか。
これまで、奈落の底に突き落とされたように見えたのが、次の瞬間にはむくっと起き上がってきたのが小沢氏だ。その「小沢神話」もここで終焉を迎えるのかどうか。
菅首相としては、どう対応するか。小沢氏が単独で離党なり議員辞職なりしてくれれば、民主党の支持率はアップするに違いない。
だが、代表選で小沢氏に投じた200人の存在がある。最後まで小沢氏についていくのはどう見積もっても50人、といった見方もあるが、いずれにしろ、離党、新党、政界再編といったダイナミックな動きに出られると、菅首相も打つ手がない。
小沢氏は代表選を「最後のご奉公」と位置づけていた。最終戦争というわけだが、最終の後にもう一度、「再最終」があるのかどうか。
長年、小沢氏の政治行動を見続けてきた立場からすると、これで終わるとは思えない。
裁判の行方も微妙だ。検察は当初、「ゼネコン疑惑」のシナリオを描いたのだが、立証できなかった。だから政治資金規正法違反にとどまった。
改めて指摘しておかなくてはならないが、小沢氏が問われたのは、逮捕された元秘書たちとの「共犯」であるかどうかという点だ。
収支報告書への記載を指示したのかどうかということだが、これも検察は立証できなかった。
そう考えると、「無罪」の可能性は大いにある。最高裁までいくだろうから、確定まで数年はかかるだろう。
この間は「推定無罪」の原則が適用される。小沢氏次第だが、政治的に動こうと思えば、これまでと同様の立場だ。
検察審査会が「庶民感覚」を反映した結論を出したのは確かだろうが、司法の場では次元の異なる厳密さが要求される。
とかく説明不足で終始してきたのが、小沢氏の弱点だ。そのツケが一気に押し寄せることになるのだが、司法判断となると、別の要素が入ってくる。
「離党せよ」「議員辞職を」と、叫ぶ側が声高になればなるほど、小沢氏の今後の対応に不気味さもただよう。