ポスト鳩山は渡部恒三氏が一番いい!?花岡信昭氏 | 清話会

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ポスト鳩山は渡部恒三氏が一番いい!?

花岡信昭氏 (拓殖大学大学院教授、産経新聞客員編集委員)

鳩山由紀夫氏の後継代表には、菅直人氏がほぼ決まりのようだ。

副総理兼財務相なのだから、閣内の序列でいえばナンバー2だ。
社長がこけたら副社長が、というのは常識的なかたちではある。

だが、この体制で民主党がよみがえるのかどうか、そこは疑問だ。

清話会 おまえならだれにするか、と問われれば、文句なく渡部恒三氏を推す。


このところ、反小沢的な言動が目立った渡部氏だが、だからこそ、こういう局面にはふさわしい。
あのとつとつとした語り口で党再生を
訴えたら、効果絶大だ。むろん、「政治とカネ」にはまったく縁のない
人でもある。

30年前、大平正芳氏が急逝したとき、伊東正義氏が臨時代理で非常事態を乗り切った。奇しくも伊東氏と渡部氏は同じ福島だ。

鳩山氏の後継首相は、いってみれば選挙管理内閣に近い。参院選で勝てばそのまま続投だろうが、負けたら9月の代表選挙をおそらくは前倒しして、もう一度、後継首相を決めることになる。

もっとも、そういう事態になったら、いよいよ衆院解散で信を問えということになるかもしれない。

8カ月前の衆院総選挙で歴史的圧勝を果たした民主党の面影は、
いま、まったくない。民主党にとっては危急存亡のときなのだ。

ならば、ここは通常の代表選挙とは違う次元の判断が必要だった
のではないか。

普天間をめぐる迷走もさることながら、一般には「政治とカネ」の
問題が民主党批判としては強烈に作用している。

いうまでもなく、首相と幹事長というツートップを襲ったのだから、
これは痛い。

菅氏が代表選に勝ち抜くためには、小沢氏の支援が必要になる。
となると、またぞろ、「小沢支配」の影響下にある首相の誕生と
いうことになる。

民主党は現在、衆院308人、参院116人の計423人。これが
両院議員総会の場で投票して後継代表を決める。

ざっくりとした感じでいえば、親小沢派、反小沢派、どっちつかずの
模様ながめ派に三分されている。

鳩山氏は「私も辞める。小沢さんも辞めてほしい」と退陣表明の場に
なった両院議員総会で述べた。

最後の最後でなんともカッコのいい見せ場をつくったのである。つ
いでに小林千代美氏にも辞めてほしいと通告した。

公開の場でこういうことを言える首相がいただろうか。

鳩山氏はこのめったにないシーンを演出して「クリーンな民主党」への
イメージ転換をやろうとしたのであった。

であれば、民主党がこの非常時を乗り切ろうとするならば、「次」は
だれかという通常の感覚ではなく、まったく違う角度からの
アプローチが必要だったのではないか。

別に民主党のためを思ってあれこれ考える立場にはないし、
そんな義理もないのだが、これが「政治の知恵」というものである。

森喜朗氏は「5人組」が密室で選んだとして政権発足当初から
やり玉にあげられたが、あのときは、小渕恵三首相が倒れるという
緊急事態であった。

後継者を挙党一致体制で選出する「知恵」を自民党が実践したのである。
これが大人の社会の政治だ。

民主党には、そういう工作ができる知恵者がいない。
それがまた政党の未成熟ぶりを象徴している。