「由加里の早苗に変わったというわけだ。これが、一昔前なら、わしもそう心安く聴けないところだが、、、。今の時代は、本人同士が一番良く判っているようだ。わしも健二君には何度か会って、話したこともある。立派な青年だ。だが、由加里のほうは気にしてやしないか?」
「お父様も、やっぱり明治の人ですわね。だいたい、今度のことは由加里さんが火付け役なんですもの。何でも、この夏、富士見で早苗さんを看病してた時の健二さん、それは並みの真剣さではない、医者が患者を見る目ではなかったってね。由加里さんが早苗さんをその気にさせてしまったんですのよ。何でも、富士見から帰るとすぐに由加里さんが早苗さんを連れ出してお世話になったお礼に会いに行き、それが二人が交際し始めたきっかけになったようですのよ」
「そんな経緯があったのか、、、」
「えェー。ですから、私がお詫び方々、ご説明に伺ったのですわ。お父様のお気持ちも訊きたかったし」
「そういうことなら、それでいいだろう。わしは何も言うことはない」
父のそんな言葉に、典子は急に声を荒立てた。
「いいえ、お父様!田島病院の将来、ひいては、宗一兄さんの跡取りをどうするか、今後のこともありますから、お父様の考えを今日は是非、お訊きしなければ」
「それは宗一の決めることだ。わしが宗一を跡取りにしたのだから、今度は宗一が自分の跡取りを決めればいい。年寄りの出る幕ではない」
そうきっぱりと、源造はいうと黙り込んだ