小説 古都の花陰 17 | 茶道体験教室 パート2 生徒さんとの日々のしおりとして、このブログを使わせていただきたいと思います。 

茶道体験教室 パート2 生徒さんとの日々のしおりとして、このブログを使わせていただきたいと思います。 

月に一度の体験教室でも何か人生でプラスになるものを掴んでほしいと思っています。興味ある方は日曜体験教室にご参加ください。何の用意もいりません。その人その人に合ったお茶を体験していただきたいと思います。

 午後の日差しが差し込んできた院長室で、毎月曜の院長回診をすませた源造は、のんびりとくつろいでいた。今では余程のことがない限り、担当医と副院長の宗一に患者のことはまかせきっていた。回診後の会議にも出たり出なかったりである。それでも、毎週水曜日の全体会議には必ず顔を出していた。それは宗一の強い注文でもあった。その全体会議は、医療問題ばかりではなく、経営上の問題などの調整会で、毎回懇親会的雰囲気だった。だが、今は新病院の設立と大問題が持ち上がって、それどころではない。

「コンコン」と、遠慮がちにドアをノックする音が聞こえた。

「お入り」と、源造は言って、椅子を立つでもなかった。

「毎度、、、。今日は遅くなりやした。すんません、院長先生」となれなれしくそば屋の親父がいった。

「どうだい、体の具合は?」

「へえー、おかげさんで、もうすっかりよくなりやした」

「そうかい。だが、お前さんの病はいつ再発するかもしれんからな。酒はほどほどにすることだよ」

「へい、へい。こればっかしはどうも、、、。院長先生にはかなわねえや。昼まっからの酒の臭いまでかぎつけられちゃ」

「私の親父が、いつもそうだったよ。何しろ酒が入らなければ、患者も診れないほどののん兵衛でね。お陰で、大分、命を縮めたがね」

 そば屋の親父は、もりそばをいつものように、テーブルに3つ広げた。

「まったく、酒もほどほどがいいんで、、、。院長先生もいつまでもお達者なのは、酒もタバコもやらないからで、もっぱら抹茶の方ばかりでいらっしゃる。わたしゃ、どうも、そっちの方は分りませんが、やっぱり、体にはいいんでしょうがね」

 副院長の宗一と事務長の大森進が入ってきた。

 源造が登院する日は、院長室で昼食を共にするのが習慣になっている。