蔓付きの茶入れは難しい。
私は最初に覚えたのが、蓋の向こうを拭き、持ち替えて手前を拭くというものであった。
それが和物の常識であった。
何時頃からか、それが唐物扱いの手前を清めてから向こうを清めるということになった。
多分研究会で代わったのだと思うが昔過ぎて覚えていない。
何しろ二引きには代わりはないのだが、若い私は手前から拭くのは唐物とこだわりがあり中々覚えられなかった。
今日は久しぶりで蔓付きの茶入れを使った。
袱紗で手前を一文字に清めると、
向こうの肩を右手で持ち、縦に持ち替える。
向こうから手前に拭けば良いのだ。
置くときは持ったままの手で置けばよい。
やって見ると唐物拭きのほうが合理的なのである。
手も自然に動いた。
生徒さんも手前から拭いても疑問に思う人もいなかったようだ。
私があれほどこだわった物は何だったのだろう。
今思うと嘘のようだ。
二引きしているので蓋は膝中央に置く。
蓋は膝中央に置き、袱紗でお茶を掬った方だけ向こうから手前に清める。
この四滴茶入れには、油滴、水滴、手瓶、蔓付きとある。
蔓付き以外は手が手前、口が向こうと覚える。
お抹茶を掬うときは口が茶碗の中に向かうようにする。
蓋の清め方はいつもの茶入れと同じで向こう、手前である。
蔓つきだけが特殊なのである。