「2023年度を振り返って」

鈴木嵐 suzuki ran (行田西中⇒成徳深谷高校)

 

 

 2022年度のインターハイ予選そして冬の選手権で、一つ上の先輩方は県準優勝という成績を収めた。

 

 自分も試合に出場したが、先輩方は頼りがいのある方達でとてもカッコ良かった。

 

 そして2023年度、私は成徳の部長を務めた。

 

 去年の結果を上回り、初の全国大会出場を目標にチーム一丸となって日々の練習に励んだ

 

 2月の新人戦。新チームとして初の大会だったが、結果は準決勝で敗れ、ベスト4で終わった。

 自分たちはこのままの流れだと優勝できるのではないかと過信しすぎたのが裏目にでたのだ。

 去年の成績を見れば、誰でも行けると思うだろう。だが、そうはうまくいかなかった。

 

 チームの課題はお互いに言える関係を築けず、何も言えない集団であったということ。

 

 その次の関東大会予選でもベスト4止まりで、関東大会への切符を逃したのだ。 だがしかし、その敗戦は決して無駄ではなく、むしろ自分たちの成長に繋げることができた。

 自分たちは弱いことを一人一人が理解し、監督のトレーニングやセットプレー練習で改善を図った。

 

 このままでは、上に行けないのではないかと思ってしまうこともあった。

 しかし、部長である自分がそんな弱音を吐いてしまったらチームを勝たせることはできないし、今まで積み上げてきた先輩方の努力を裏切ることになると思った。

 

 私は決して諦めず、上を目指し続けた。

 

 

 6月のインターハイ予選の2回戦。 前半のアディショナルタイムに味方がフリーキックを決め、このままなら絶対勝てるとみんな思っていた。 だが、相手のホーム試合で監督コーチからの指示や味方同士の指示がほとんど聞こえずらい中、1対1に追いつかれた時、あの場面で自分がもっと落ち着いてチームに働きかけていれば、どうなっていただろうか。

 

 もしかしたら勝てたかもしれない。 自分たちのミスから失点してしまったのがメンタルに響き、その後そのまま追加点を許してしまった。 今でもその試合を忘れることはない。 悔しさのあまり泣く選手もいたが、自分は泣けなかった。 頭が真っ白になり、自分たちの弱さを受け入れるしかなかった。

 

 その後どう改善したらチームが良くなるのかをずっと考えた。 私は、「このままではチームがどんどん悪い方向へといってしまう。もっとお互いにどうして欲しいのかを伝えて、選手権までには今よりも強くしよう」とチームメイトに言った。

 

 私は、プレーよりもお互いの関係性をよくすることに力を注いだ。 一人一人に声をかけていくこともあった。

 

 夏休み中には、石川県で北陸大学カップが開催され、見事優勝。 他県のレベルはものすごく高く、合宿を通して技術面や人間性を高めることが出来た。 

 

 

 

選手権が始まるまでの間はS1リーグがあったため、なんとかして勝ち点3を取ろうと必死だった。 途中までどのチームよりも最小失点で順位は3位。トーナメント戦ではうまくいかなかったものの、リーグ戦で自分たちの強みを活かせることができた。 

 

 

真夏のきつい練習を乗り越え、あっという間に選手権の時季が訪れた。 チームを引っ張ることはなかなか難しいことだと改めて分かった。 自分は中学生の頃も部長を務めたが、高校サッカー部の部長となると訳が違う。自分の考えで全てが思い通りに動くわけではない。 部員人数も増え、意見のぶつかり合いなど、お互いの関係性が悪くなることもたくさんあった。

 

 でも最後は今まで以上に声を出し合ってみんなで勝利を掴み取る、そう私は大会前に呼びかけた。 迎えた初戦。もうすでに引退してしまった選手のためにも最後の選手権では勝ち続けたい、その一心で臨んだ。 

 

なんとか1対0で勝ち、2回戦目に進出できたが、自分は去年よりもすごく緊張していて、体がガチガチだった。 キャプテンマークを巻くと尚更緊張する。 次の2回戦目は、プリンスリーグで闘っている相手との試合だった。 会場は土砂降りの中、多くの観客が集まり、メガフォンでの応援が凄まじかった。

 

 パスをしても水溜りで止まり、ドリブルもしづらい最悪のピッチだった。 だが、相手はその環境を活かした戦術で0対4と1点も入れさせてくれなかった。 これがS1リーグとプリンスリーグの差だと分かった。

 

 

 

 

 あの時こうしてれば…といまだに後悔している。 部長としての役目をしっかり果たせたかと言えば果たせてはいない。もっとチームに働きかけていれば変わったかもしれない。 だが結果には繋がらなかったものの、得たものはある。 それは失敗から逃げずに、挑戦を諦めなかったことだ。 

 

監督やコーチに失敗を指摘されても、最後まで諦めずに闘ってくれたのが自分の代の良いところだと思う

 

 自分についてきてくれた最高の仲間とプレーできたことを誇りに思う。 成徳の部長を務めることができて本当に嬉しかった。

 

 監督やコーチ方をはじめ、毎試合毎試合応援してくださった保護者の皆様、そして一緒にプレーした仲間たち。 みなさんの支えがなかったら自分はここまで成長できていません。

 

 成徳に来て良かった。 本当にありがとうございました。

 

 令和6年度 部長 鈴木嵐#8