「旅に出る」
温子は唐突に、両親に言った。
「旅に出るってお前…」
父はそう言うと、しばらく次の言葉を探していた。
「もう決めたの。」
父の言葉を待たずに、温子は言った。
「…どこへ行くの?」
母が聞いた。
「旅は旅よ、行き先なんて決まってないの。」
「でもだってそれじゃあ、泊まる所とかないじゃないの。」
母は、呆れたように言った。
(完)