英雄になれない父。 | seigoのブログ

seigoのブログ

ブログの説明を入力します。

第51回技術選が無事終わりました!
多くの皆様に声援を頂き無事滑りきることができました!

本当にありがとうございました!

photo:01



photo:02




結果は技術選に出場した過去14回のなかでは一番悪い総合成績ではありましたが、悪天候の中応援して頂いた皆様のおかげで満足に滑りきりました!

そして何よりナショナルデモンストレーターに認定されました!


過去3期6年ほどデモンストレーター職とは離れていましたが、もう一度デモとしてスキーに携わりたく申し込みをさせて頂きました。

認定を受け、久々に背すじが正された思いであります。さらに精進しスキースポーツの普及に務めてまいります。

今まで同様温かく身守っていただけますよう何卒よろしくお願いいたします!


ナショナルデモンストレーター
竹田征吾






続き。






話はかわり、なぜ『英雄になれない父』とお題をうったかというと…


長くなりますがお付き合い下さい。


今回の技術選決勝1日目。

決勝1日目が終了し宿でのんびりし、妻に電話すると

電話の向こうで泣いている・・・。


どうした?と尋ねると実は昨晩から体調を崩し入院しているという。


妻は身重である。お腹の子に何かあったのかと尋ねると子供は大丈夫とのこと。
まずは一安心なのだが。


ではなぜ泣く?それは私を思ってのことだと。一年間で一番大事な時期に入院などして申し訳ないと泣いている。
『バカやろー!』と言いたかった。



自分にである。



病院には救急車で搬送され即入院だったのだが、旦那さんに連絡を!という病院関係者の方に頑なに『旦那は大事なときだから連絡しないでくれ』と伝えたらしい。


家族の一大事に父はスキーをしていた。

仕事だからとか大会だからとか、家族を養うためとか色々な言い訳は出来るがタダでさえ家族を犠牲にし、スキーをしているのに家族はさらに私に気遣いスキーをさせてくれていた。

そんな自分が情けない。





その連絡で、病院へ行こうとするが妻は『絶対に来ないで!』と言った。

私が大会中であるという理由からである。


同部屋であり、今期で引退する片桐たかし、西村ひとしにその事実を相談した。
『当然病院へ行くべき!行ってやって下さい!』と即答。有難かった。

技術選はとても大切な大会。
だがしかし家族のほうがもっと大事!!と価値観の同じ二人と同部屋だったことがとても嬉しかった。そして有難かった!


そして病院へ。妻も元技術選選手で元デモ。技術選が終わるまで私には入院を黙っておこうと思っていたらしい。

幸い容体は落ち着いていてお腹の子供も元気らしい。私もようやく落ち着けた。

明日の最終日出場をキャンセルも考えた。


入院し病院にいれば、看護師さんやお医者さんなどもいるので任せることができる。まずは任せるしかない。


私には何も出来ない。




妻は申し訳ない申し訳ない。と謝り続けてきた。
妻の為にも出場を決意した!

謝る妻に『気にせず療養してくれ!こんなことでは俺は動じない!明日の俺の成績見てろ!』と断言し、一路愛娘のもとへ!


愛娘は2歳。常に母親にくっついている娘。さぞ寂しがっているだろうと帰宅。私を見るなり抱きついてきた。帰ってきて良かった!やっぱり寂しかったのだろう。



母親の不在を考えさせないよう遊びまくり、ご飯を食べさせ、お風呂にいれ、寝かしつけ。この寝かしつけがいつも私だと嫌がるのだが。


いい感じで寝るではないか。2歳の子でも色々と感じていたのかな。


そして寝るか寝ないかのうわ言で
『ママはマスク(病院のこと)でがんばってるんだよね。パパはたいかいだね。』と言った・・・。


涙が止まらなかった。無邪気に遊んでいる娘が、状況を把握し私にも気をつかっていたのだ。



私は誓う!明日の最終日に大会に出させてもらえる家族の想いを胸に高得点を連発する!と。


そして最終日。スタートする前は落ち着き過ぎなほど落ち着いていた。


そして決勝2日目の2種目で高得点連発!順位も急浮上!家族のもとへ満面の笑みで帰る!・・・。


というのが私のシナリオ。



しかしスタートすると明らかに力んでいた。過去14回の出場でこれほど力んだことはない。関節はツッパリ、雪面もよく見えていない。気持ちだけが焦っていた。どうやって滑ったかも覚えていない。




現実は決勝最終日の順位は急降下。


妻の入院の事実を隠したかった想いと娘の寂しさを隠す想いが自分の中で逆変換されてしまった。


ヒーローはピンチのときこそ頼もしい。
ヒーローは普通の人を超える力・知識・技術を持ち、それらを用いて一般社会にとって有益とされる行為、いわゆる救世主としての行為を行う。また、突出した能力を持っていない場合でも、何らかの形で英雄的行為をすることがある。

ヒーローの定義である。


私は全く出来なかった。
家族のヒーローになりたかった・・・。情けない。





滑走後は家族の元へと戻ったので、最後まで応援して頂いた方々へのご挨拶や、感謝をお伝えすることができず大変申し訳ありませんでした。

そして県連コーチ、メーカースタッフ、メーカーコーチ何より一緒に戦ったチームメイト、そして引退する選手に感謝を伝えることが出来なくて申し訳ありませんでした。

一年間本当にありがとうございました!また次の一年精進いたします!

家族にとっての真のヒーローを目指し頑張ります!







最後に、

私は家族の一大事に最終日不参加も考えました。

たとえ私がトップ争い(ないとは思いますが)していても私は技術選よりも家族を最優先 すると思います。

応援して頂いた方々の気持ちを裏切る形になりますが、私は家族が大切です。


こんな私が、デモンストレーター認定を受けました。
デモンストレーター職はスキー界の発展に重要な任務だと思います。
しかし私の一番大切な任務は、家族の幸せだと思っております。


否定的な意見も当然あると思います。こんな私がデモンストレーターを務めることをお許し下さい。

できる範囲内ではあるかもしれませんが任期中はしっかり務めてまいります。

温かく身守って頂きますようよろしくお願いします。



竹田征吾










iPhoneからの投稿