雨過ぎて天晴ゆる ~三重の気象予報士が綴る~

雨過ぎて天晴ゆる ~三重の気象予報士が綴る~

気象、防災、環境、日々気になったことなど。

当ブログへお越しいただきありがとうございます!!

(★まずは初めに下の説明書をお読みください★)




○当ブログ管理人の説明書


 ブログのトップ見てわかるとおり、気象が大好きです。

 ずっとブログを放置しておりましたが、再開します。ぼちぼち、更新していきますのでよろしくお願いします。


 ブログを再開した理由は、やはり不特定多数の方に見ていただき、繋がりを大切にしたい、そんな風に思ったからです。

 これからは共助社会だと思っています。ブログを通じて様々な出会いがあればと思います!

 ブログには気象、防災、環境のこと、自分の思い、普段の何気ない日記まで幅広く書いていきたいと思います。人との繋がりを大切にしたい、同じような思いを持つ方はぜひ気軽に絡んでくださいね。

本ブログに関するお問い合わせはこちら

kishouzyouhou@yahoo.co.jp(@を小文字にしてください。)



 Kohei Sugita

(気象予報士・防災士)




Amebaでブログを始めよう!


雨過ぎて天晴ゆる ~三重の気象予報士が綴る~

 図は気象庁より転載許可済みです。

 8月10日にエルニーニョ現象が発生したとの情報が出されました。

 図を見ると、エルニーニョ監視海域の海水温が上昇傾向です。海水温を基準値と比較してその差の5か月移動平均値が+0.5℃以上になれば気象庁は速報的に「エルニーニョ現象が発生した」といいます。厳密には、5か月移動平均値が6カ月続けて+0.5℃以上の場合をエルニーニョ現象といいます。

 すなわち、速報的にはピンク色の範囲に入ればエルニーニョ現象、水色の範囲に入ればラニーニャ現象が発生したという言い方になります。


 エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が1年程度続く現象です。

 平常時だと、貿易風と呼ばれる東風が強く吹いていて、海面付近の暖かい海水が太平洋西部に吹き寄せられます。エルニーニョ現象が発生すると東風が平常時より弱くなり、西部に寄せられていた暖かい海水が東部へ広がります。その結果、東部の海水温が上がり、積乱雲の発達する海域が平常時よりずれる傾向にあります。


 エルニーニョ現象が発生すると、西太平洋海域の水温が平年より下がり、太平洋高気圧の張り出しが弱くなる傾向があります。そのため、夏季は低温、多雨、寡照となる傾向があり、冬季は暖冬となる傾向があります。

 今年の冬の動向はいかに?今後発表される季節予報(寒候期予報は9月25日頃発表予定)に着目ですね。



エルニーニョ/ラニーニャの詳しい解説はこちら (気象庁)

報道発表資料(エルニーニョ監視速報No.239)はこちら


雨過ぎて天晴ゆる ~三重の気象予報士が綴る~-ipodfile.jpg


雨過ぎて天晴ゆる ~三重の気象予報士が綴る~-1344057307385.jpg



図は気象庁より転載許可済みです。



今日は「大気の状態が不安定」について書いてみました。簡単に言うと、上空に寒気が入る、あるいは下層に暖湿流が入る、もしくはその両方を意味します。


昨日は関東で局地的な大雨が降ったほか、東北でもまとまった降雨エコーが見られました。

特に東北ではこの時、竜巻注意情報も発表され、雷活動が活発で、発達した積乱雲が線上に居座る危険な状況となっていました。

また、愛知県を中心に東海地方でも一時大雨・洪水警報、竜巻注意情報が発表されるなど、全国的に大気の状態が不安定な一日になりました。


上の図をみてください。

この天気図、気圧配置から東北の局地的な大雨を予測できるのか。

答えはノーで、この時、オホーツク海高気圧が居座り、一見してやませの影響はあるものの、局地的な大雨になることは想像しにくいと思います。


しかし、高層天気図を見ると気象をよく知っている方であればすぐに不安定という言葉がよぎるはずです。



雨過ぎて天晴ゆる ~三重の気象予報士が綴る~

図は気象庁より転載・加工許可済みです。



これは500hPa上空の天気図です。少し見にくいですが、さきほどの地上天気図とは全く様相が異なります。

500hPaとはちょうど対流圏の中間~やや下層くらいになりますが、テレビの天気予報でよく上空5500m付近の寒気の動きが伝えられますが、それがちょうどこの図になります。

オホーツク海付近には低気圧があり、寒気が南に垂れ下がっています。これが気圧(この場合サーマルトラフといいます。)の谷で、東日本の上空には寒気が入っていることがわかります。

これでなぜ不安定かというと、

まず大気の状態が不安定であることを示す目安にはいろいろありますが、一番簡単なのは500hPaと地上の気温差が40℃以上かどうかということです。

真夏であれば気温が30~35℃程度はありますので、このように-6℃や-9℃の寒気が入ってくるとその差が40℃前後になり、大気の状態が不安定となります。

大体の目安は次のとおりです。


不安定の500hPa気温の目安

・冬…-30℃以下が日本海側での大雪の目安

・春秋…-21℃(初春、初秋であれば-24℃)以下

・夏…-9℃(真夏であれば-6℃)


このように、地上天気図だけでなく、高層天気図を見るようにすれば地上天気図からは読み取れない情報が見ることができます。

また、「大気の状態が不安定」とはどういう気象現象で、どういうことが起こるのか、これを知ることは防災に直結します。

大気の状態が不安定であることは相対的に上空に寒気が入る、または下層に暖湿流が入るなどの状況で、不安定な状態は対流を起こします。寒気は空気密度が大きく、重いのです。

上に重たいものを置いたら不安的になってやがて重力によって落ちることと同じです。落ちる際に周辺の空気を巻き上げます。それが上昇気流であり、積乱雲発達の原因となります。

そのため、大気の状態が不安定な時には積乱雲が発達することが想定され、積乱雲に伴う雷や局地的な大雨、突風などに留意する必要があるため、雷注意報が発表されます。雷注意報は一般の方が大気の状態が不安定であることを認識する最も簡単な方法です。


高層天気図の見方は少し専門的になるのでここでは紹介しませんが、500hPa気温と気圧の谷は簡単にみれますので参考にしてみてください。



高層天気図を見たい場合はこちら (HBCウェザーセンター)

注意報・警報の状況を見たい場合はこちら (気象庁)


図は気象庁より転載許可済みです。

今日は台風11号からの湿った気流が入り、太平洋側の特に南東向き斜面のある三重県南部や四国の一部で雨が降っています。
相当温位340ケルビンの暖湿流が今後明日にかけて三重県南部にかかりますので、台風から離れているとはいえ、雷を伴った局地的な大雨に要注意です。
また、内陸部や日本海側では台風からの気流がフェーンとなるため、気温が上がる見込みのため、猛暑日となるところがありそう。
熱中症に注意してください。
首元を冷やし、塩分と水分をこまめに補給しましょう!

さて、僕は今日から3日間、広島へ行ってきます。
去年も行きましたが、平和記念式典に出るためです!…広島も暑そうです。