自信がない・・・
何かにつけて口をついてでる言葉です。口に出さないまでも、多くの人が心の中で思っていることでもあります。

 以前、ある自己啓発セミナーに参加した時のことです。あるワークの中で、その参加者全員が、自分に自信がない、劣等感があると発言したのです。立派な仕事をこなされていて、自信あり気な人もです。もちろん私もそうでした。

 現代社会ではほとんどの人が幼少の頃より、他人と比較しながら育てられています。この世に誕生した後、まず親からその洗礼を受けます。親自身もまたその親から同じように育てられていますから、立派に育って欲しいという一心から習慣的に出てしまうのです。

 兄弟と比較され、学校教育でテストやスポーツで学友と比較され、そして社会へ出てからは同僚や成績で比較される。そしてその競争に勝ち残ることが成功者であり、幸せへの道だと思っています。

 果たして本当にそうでしょうか・・・?
人から見れば一見社会的成功者に見える人が、日々幸せ感なくギスギスと生活していたと告白する人も少なくありません。

 人は、自分の存在感を認めて欲しいという欲求で動きます。宇宙の中に、この地上に生命を持って生まれたからには、本能的に当たり前の話なのです。ですから、自分の存在価値がないと判断されることが何よりも辛いこととなるのです。

 自分の存在価値を認めて欲しいが故に、猛烈に働いて社会的成功者と言われる人になる方々もあります。

 私は思います。「他人に喜んでいただける」ことをすることが、最も幸せな道なのではないだろうかと。

 私は今の仕事をしていて、患者さん達が喜んでくださる、その一言が何よりの励みになって日々充実して治療を行うことができます。きっと多くの治療家が同じ思いだと思います。シェフであれデザイナーであれ、どのような立場の人であれ、周囲の人や顧客が喜んでくださることが幸せと感じます。

 尊敬する故長尾弘先生はよく言われました。「ひと様の喜びを我が喜びとする」と。

 まず家族に愛を施し喜んでもらえる。そして親族や恋人、友人、会社の同僚へと喜んでいただけるよう行動する。その喜んで感謝される思いが、自分の喜びとなり、そこに喜びの連鎖が生まれます。何より自分の存在価値を自分で認めることができるようになり、それが確たる自信へとつながってきます。

本当の自信とは、何かを成し遂げて生まれた自信よりも以上に、自分で自分の存在価値を認めることができた時に生まれるのです。


今日一日、何か一つでもいい、人に喜んでもらえる行動をしてみませんか?

台風接近の雨模様の空を眺めながら、そんなことを思った朝でした。