以前(3/3)、整体の治療に関して人体の基準はどこに設けるのか? ということを書きました。
心についても同じことが言えます。

 人は誰でも様々な信念や観念といったある種の「思い込み」を持っています。その信念や観念を通して現実を見ることにより、何らかの感情が湧き起こります。太陽を見て、雨を見て、〇〇さんという人を見て・・・人はいろんな感情を持ちます。そしてその感情に基づいて行動を起こすのです。
 
 では、ここで一度自分の心をじっくりと観察してみてください。ある事柄を見て、それは許せないとか、許容範囲であるとか、それは難しいとか・・・抵抗と欲求に基づいた感情が湧いてきます。その時にその感情を決めている自分の「基準ライン」を見つけてみてください。
 その基準は何を根拠に決められたものなのでしょうか? ここまではなら許せるけど、超えると許せないという枠の範囲は、いつどこで決まったものなのでしょうか?

 人はこうあるべき・・・その基準は?
 男はこうあるべき・・・その基準は?
 女はこうあるべき・・・
 夫婦はこうあるべき・・・
 上司、部下は・・・
 自分の中でのお金持ちとは・・・
 自分の中での豊かさとは・・・
 善悪の基準は?

 例えばこのような信念や考えについて、どのような自分の「基準ライン」があるのかを確認してみると、実は明確な根拠などなく、あいまいであったり、勝手に思い込んでいるものが多いことに気がつきます。

 私自身も最近よくやってみます。腹が立ったり落ちこんだり、感情が乱れた時に「ではいったい、どうだったら、自分の中で満足なんだろう? 何を元にこの基準を決めたのかな?」と基準ラインを確認してみます。するとまるで陽炎のように実体などありません。気づくと霧消してしまうのです。「な~んだ。何の根拠もないじゃないかと(笑)」。そしていとも簡単に感情は平穏に戻ります。


 その「基準ライン」に気づいたら、一度取り払ってみてください。取り払うのが難しければ、その「基準ライン」を移動させてみるだけでも構いません。自分の中で明快な根拠なく決められた「基準ライン」は、その出所さえハッキリとわかれば、比較的容易に変えることができるものです。

 一度試してみてください。心の制限が解放され、寛容に、そして楽になっていきます。