今回は 原始・姿勢反射の重要性や

 

発達しょうがいについて理解する

 

ためにも とても大事な

 

姿勢制御のメカニズムになります。

 

また 姿勢制御のメカニズム内の

 

何処かで 問題があると

 

頭痛、めまい、ふらつき

 

などの症状や歩行障害

 

身体麻痺, 認知機能障害などを

 

引きを越す要因でもあり

 

身体を動かすためには

 

とても重要なメカニズムになります。

 

 

姿勢制御とは?

 

姿勢をコントロールする能力で

 

人間が 静的・動的運動動作を行う際に

 

常にその動きに合わせて

 

身体バランスなどを無意識下で

 

コントロールしており

 

日常生活の歩いたり

 

座る、立つなどの

 

基本的な生活動作はもちろん

 

スポーツなどで行う投げる動作や

 

走る・ジャンプ・打つ・泳ぐなど

 

あらゆる動作において

 

必要とされる能力です

 

この姿勢制御は 2つの要素から

 

構成されているといわれており

 

・姿勢の定位(postural orientation)

( 定位 = 動作に関与する身体と環境との間の関係を適切に保持する能力で 重力、支持面、視覚環境、および内部表象( 身体の状態把握 )に対する身体のアライメントと筋緊張の調整制御のことをいい、質や方向性をコントロールし、予測的に行われる制御になります。)

 

・姿勢の安定((postural stability) 

( 安定 = バランスや平衡と同義とされており身体各部の位置を他の部位や環境に対して適切に保ち身体の重心を安定させるための感覚運動調整のことをいい強さや速さをコントロールし、与えられた刺激に対して起こる制御になります。)

 

の要素になります。

 

これらの姿勢を制御するためには

 

感覚情報が必要になります。

 

この感覚情報を得るための

 

重要な3つの感覚システム

 

視覚・前庭・体性感覚 があります。

 

視 覚システム

視覚は、視力(対象物の形態を識別する能力)だけではなく、物体との距離感や姿勢、動作、痛み、思考などの心身に至るすべてに影響を与える非常に複雑かつ重要な器官になります。視覚は、姿勢のバランスを維持するための感覚情報の主要なシステムの一つであるため、視覚環境を改善することで姿勢の安定性が向上します。

 

そして 視覚の制御には、2つの機能分類があり視覚対象物を見るときに眼と頭を同時に動かすことによって視線を制御する機能「視線安定化」と、眼球を動かすことにより視線を制御する機能「視線移動」があります。

(図を参照) 

 

視線安定化

視線安定化は、眼と頭を同時に動かすことによって視線を制御する機能で、眼と頭を同時に動かし対象物を見る際に網膜に映る対象物の映像がぶれないようにする働きがあり 歩いている時など頭部が上下 左右に揺れていても対象物を明瞭に見ることができる機能になります。この視線安定化は、頭の動きによる前庭(三半規管刺激)と眼球(視覚刺激)により起こる眼球運動(前庭動眼反射)の協調による視線制御になり 頭を動かした時に頭の運動方向と加速度を前庭系にあるセンサー(半規管と耳石) が捉え、頭が動いた時には目を頭と反対方向に動かし(例:頭が右に動くと、眼球は左に動く) その後眼球は反対方向に急速に動き目を正面の位置に戻す(例:頭の動きが止まると、眼球は左から右に動き正中の眼位に戻そうとする) 働きを行うことで 頭を動かしながらでも視標を視界の中央にとらえ続けることにより 網膜上の映像を固定しようとする眼球運動になります。また、視線を安定するには、両眼が同じ方向に動く共同運動が必要になってきます。

(図を参照) 

 

視線移動

視線移動は、眼球を動かすことにより視線の制御をする機能で、視覚対象が変化・移動したときに視線が制御され視覚対象を追い 焦点に合わせ捕らえ続ける働きや 対象物が静止している時には、眼球が動かないようにし視覚対象を焦点に合わせ捕らえ続ける働きなどをする機能になります。この眼球運動系には 追従眼球運動(パスート)・輻輳開散眼球運動・跳飛性眼球運動(サッケード)の3つの眼球運動システムがあり身体動作にも関わるとても重要な運動になります。

 

3つの眼球運動システム

 

⚫︎ 追従眼球運動(滑動性眼球運動やパスートとも呼ばれます)

視覚対象物の動きに合わせて視線を外すことなく滑らかに対象物を目で追いかけるために必要な運動になります。これができないと視線を正しい位置に維持できず、 目と身体のチームワークも行えなくなります。

 

⚪︎ 追従眼球運動の例として

・転がっている ボールを目で追う

・書き順を目で追う

・ものをじっと見る

など

 

また 追従眼球運動の動きが悪い状態だと

・本を読む時に文字を読み飛ばす

・文字を綺麗に書くことが出来ない

・ハサミ、折り紙など指先を器用に使うことが出来ない

などの症状が起こりやすくなります。

 

⚫︎ 輻輳開散眼球運動

両目を同時に内側に向ける運動で 遠くのものから近くのものに視線を移すときなどに両目の間の角度を変えることで前後の焦点を合わせ、視覚対象物からの距離の変化を調整し正確な距離を認識するために必要な運動になり近くを見るときに両眼が寄ることを「輻輳」と呼び、遠くを見るときに両眼が離れることを「開散」といいます。

 

⚪︎ 輻輳開散眼球運動の例として

・黒板とノートを交互に見る

・人物や風景などを描写する

・視覚対象との距離感を測る

など

 

また 輻輳開散眼球運動の動きが悪い状態だと

・手元の作業が苦手

・板書が遅い、 うまくできない

・集中力が持続しない、気が散りやすい

・運動全般、特に球技が苦手

などの症状が起こりやすくなります。

 

⚫︎跳飛性眼球運動(衝動性眼球運動やサッケードとも呼ばれます)

右から左、上から下と注視点を素早く変えるときに働く眼球運動で 視線を素早く動かす際に発生する網膜の映像の「ブレ」を認識しないように抑制する眼球運動になります。視覚対象物を追いかけている際に 眼球の動きが途中で停止する時間がありそこから瞬時にまた対象物に視線を向けるということを繰り返す運動が特徴になります。身の回りにある多くのモノから、素早く正確に自分の必要な情報だけを得るために必要な運動になります。

 

⚪︎ 跳飛性眼球運動の例として

・速く飛んでる虫を見る

・本の文字を目で追い、改行する

・人混みの中から人を探す

など

 

また 跳飛性眼球運動の動きが悪い状態だと

・読んでいる文字や列をすぐ見失う

・黒板の文字を写すのが難しい

・キャッチボールが難しい

などの症状が起こりやすくなります。

 

(図を参照) 

 

これらの眼球運動が正しく機能することで

 

情報を目から取り入れることができます。

 

 

そして この目から取り入れた

 

視覚情報を脳へ伝達する

 

視覚伝導路という

 

情報伝達経路があり

 

網膜→視交叉→視索→外側膝状体→

 

視放線→視覚野の順番で

 

視覚情報が入力され

 

脳の後頭葉にある大脳皮質

 

視覚野の一次視覚野で

 

情報処理されていきます。

 

この一次視覚野に入力された情報は

 

「腹側視覚経路」と「背側視覚経路」に

 

向かう二つの経路に分かれます。

 

また 視索の繊維のうち大部分は

 

外側膝状体に達っしますが

 

一部の視索繊維は視覚伝導路の

 

中継核ではない中脳の

 

上丘や視蓋前域に向かい

 

視蓋脊髄路から

 

眼球運動神経核や顔面神経

 

小脳と連絡していきます。

 

視蓋脊髄路は頭と体幹の運動を

 

眼球運動と協調させる役割を持っており

 

視覚性の運動反射などの

 

眼球や頭部の動きに関わり

 

特に対象物を視覚の中心で

 

とらえるときなどの動きに

 

重要な働きをします。

 

また 眼球に入る光の量の反射的調整

 

瞳孔反射など 瞳孔の大きさや

 

水晶体の厚さの調整にも関与しています。

 

(図を参照) 

 

そして外側膝状体から

 

一次視覚野に伝えられた

 

視覚情報は 色や明るさ・形など

 

物体の形状の情報を

 

主に処理している

 

「側頭葉」に向かう経路

 

腹側視覚経路」と

 

物体の位置や動きの情報を

 

主に処理している

 

「頭頂葉」に向かう経路

 

背側視覚経路

 

とに分かれます。

 

 

腹側視覚経路

この経路は 一次視覚野から「側頭葉」へ向かう「what経路(なに系)」といわれ、視覚対象が「何なのか」を理解し認知するための経路になります。腹側視覚経路の役割は、主に視覚対象の色や明るさ・形状を認識し、顔や文字・風景などの視覚情報を海馬に投射し 記憶からそれがどんな意味を持つのか分析・理解します。また前頭眼窩野にも投射されることで感情などの処理や、物の形に合わせて何かをするか などの判断がされるといわれており 左脳は言語的に、右脳はそのものが今置かれている環境に対して対象物が持つ意味について理解をしているといわれております。このように腹側視覚経路 は、物体の認識や表象(意識に上らせること)に関与するとされています。

 

(前頭眼窩野 = 感覚情報や記憶情報の統合、強化子 (reinforcer:報酬によって生じやすくした行動) の感情価 (affective value:快を求め,また不快をさけるべく行動) の表現、意思決定や期待に関連しているという考えが提唱されており 特に、ヒトの前頭眼窩野は報酬と罰に対する感受性に関連した行動計画を制御していると考えられております。) 

 

 

背側視覚経路

この経路は 一次視覚野から「頭頂葉」へ向かい その途中で下頭頂小葉へ向かう「腹背側視覚経路」と上頭頂小葉(主に頭頂間溝)へ向う経路「背背側視覚経路」とに分かれます。

 

⚫︎腹背側視覚経路

where経路(どこ系)」といわれ、視覚対象物が 3次元空間の中で「どこにあるか」といった対象物の位置についての空間的な情報と対象物の動き・運動方向や速さを知覚し分析・処理するための経路で 視覚対象物の「存在を意識する」といった意識的な認知に関与しています。

また、この経路は視覚情報を運動に変換する働きににも関わっており、コップをつかむためにコップの形状や持ち方に合わせて手や指の形を変えたりするプレシェーピング「Preーshaping」という到達把持動作があり、このプレシェーピングは、対象物を把持するまでに視覚情報による物体形状や特徴に応じて手や指の形を形態変化させ把持の準備する動作になり、このプレシェーピング動作に強く関わっている経路と言われております。

 

そして頭頂葉の下頭頂小葉が損傷や機能低下などが起こると半側空間失認という損傷の反対側の空間が認識できなくなる症状(右下頭頂小葉損傷の場合は,左側半分に見えているものを見えていないわけではないが、無視する 認識出来ないという症状です。)や構成失行という簡単な図柄の模写ができなかったり、立体的な図柄を描いたり、積み木がつめないなどといった運動ができなくなります。

 

 

⚫︎背背側視覚経路

HOW経路(どのように系)」といわれ、視覚対象物の形や位置、動きの情報を無意識的に分析・処理をし その視覚情報から対象に向けた行為(対象物に手を伸ばすといった到達運動)を無意識的にコントロールし「どのように」動作を行えば うまく行為を遂行することができるのかといった対象物にたいしての適切な行為を引き起こすための運動・動作に関与しおります。

また、この経路は前頭前野の「運動プログラム」を生成している領域につながることで、状況に則した「運動プログラムの作成」にも関与しおります。

 

そして頭頂葉の上頭頂小葉が損傷や機能低下などが起こると自分の体の一部を無視する認識出来ないという身体失認(例:自分の手が自分の手だと認識できない)という症状や複雑な一連の動作やその模倣ができないといった観念運動性失行(例:手を振る動作をするように言っても手を振れない、料理をする手順が解らない、道具を使った工程作業ができないなどの症状)・対象物に向かって手を正しい方向に動かせない視覚性運動失調といった症状が出現します。

 

(図を参照)

 

視覚の情報処理システムを 

 

簡単にまとめると

 

コップを取ろうとするときに

 

私たちが 行う行為としては

 

まず 物体がコップであることを認識し

 

手をコップに向けて動かし

 

コップをつかむといった一連動作になり

 

 「物体がコップであることを認識する」

 

ために必要な視覚情報路は

 

「腹側視覚経路」によって担われ

 

「手をコップに向けて動かす」運動を

 

到達運動といい

 

この到達運動に必要な視覚情報は

 

「背-背側視覚路」によって担われます

 

そして「コップをつかむ」は

 

把持運動といい

 

把持運動に必要な視覚情報は

 

「腹-背側視覚路」によって担われます

 

このように腹側視覚経路は

 

物体を知覚するためのシステムで

 

背側視覚経路は

 

行為をするためのシステムになります

 

これらの視覚情報処理のおかげで

 

うまく確実にコップを手に取る行為が

 

できる重要なシステムになります。

 

 

また このシステムの

 

発達に関してでは

 

「背側視覚経路」は

 

「腹側視覚経路」よりも

 

先に発達する。

 

といわれる一方で

 

発達の過程で選択的に

 

障害を受けやすいのは

 

腹側視覚経路より

 

背側視覚経路路の方が

 

障害を受けやすい

 

といわれており

 

背側視覚経路の脆弱は

 

身体を動かしながら

 

見ることが難しくなるため

 

さまざまな発達障害にも

 

関係してくるといわれています。

 

 

視覚システムは視空間認知機能や

 

運動機能「目と体のチームワーク」

 

記憶力などにも関連する

 

とても重要な機能になります。

 

そして 視覚の発達は

 

赤ちゃんのときから始まり

 

およそ12~13歳位で

 

大人と同じようになると

 

いわれており

 

視覚システムに

 

課題がある場合には

 

・探している本を本棚から見つけること難しい

・ぬり絵をするとき、枠からはみ出たり、すきまだらけになってしまう

・人の顔をなかなか覚えられない

・文章の中から特定の単語を探し出すことができない

・文字(漢字やひらがな・アルファベットなど)がなかなか覚えられない

・図形の問題が苦手

・見て覚えたり、まねしたりするのが苦手

・飛んでくるボールをうまくつかむことができない

などがあり

 

また 幼児が言語を獲得する際には

 

よりよく言葉を聞き取るために

 

口もとに注目する必要があると

 

いわれており

 

そのため視覚システムに

 

課題があると

 

言葉の獲得にも

 

遅れがみられると

 

いわれております。

 

 

視覚システムに関わる

 

原始反射としては

モロー反射

緊張性迷路反射

対称性緊張性頸反射

非対称性緊張性頸反射

などが あります。

(上記の原始反射については

ブログに書いておりますので

宜しければ 読んでみて下さい)

 

このように視覚システムは

 

とても複雑で 見るだけではなく

 

身体操作にも深く関わるため

 

とても大切なシステムの一つになります。

 

 

次回は 今回の続きで前庭系の解説と

 

視覚と前庭のトレーニング方法について

 

書いていきたいと思っております。

 

皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。

 

【お読み頂きまして ありがとうございました】