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原始反射 ⑨:探索反射 - 脊髄及び脳幹 -

 

今回の吸啜反射は

 

前回の探索反射同様に

 

大人の方でも残存されている方が多く

 

肩や首などがこりやすいなどの症状の

 

要因にもなる原始反射になります。

 

また 最近では 

 

過剰な長時間のマスク着用による

 

口周りの皮膚感覚のストレスにより

 

吸啜反射が 再出現されている方も多く

 

マスク頭痛・肩こりなどの

 

要因のひとつにもなります。

 

また 赤ちゃんにとっては

 

出生後すぐに母乳やミルクを飲み

 

大切な栄養を摂取するための

 

原始反射になり

 

生きていくうえで

 

欠かせない反射のひとつです。

 

また 吸啜反射は

 

言葉と呼吸の関わりも深く

 

発声の基礎ともなる反射で

 

心臓・肺・胃などの臓器にも

 

影響する反射でもあります

 

また 心を落ち着かせる反射

 

ともいわれ精神性にも関わる

 

とても大事な

 

原始反射になります。

 

吸啜反射(sucking reflex)とは

 

哺乳機能の反射のひとつで

 

探して→ 捕まえて→ 吸う→ 飲み込む

(探索反射→ 捕捉反射→ 吸啜反射→ 嚥下反射)

 

という一連の動作・反射の

 

「 吸う」の反射にあたります。

 

妊娠 32週前後の

 

子宮内にいる間に発達し

 

36週まで完全には発達せず

 

出産後約1時間で最も強くなり

 

生後5~6か月頃には

 

統合されて行くとされており

 

赤ちゃんが食物の供給源を探し

 

それを手にした瞬間に

 

吸啜反射がそれを吸って

 

食物を飲み込むことを

 

可能にするための反射です。

 

そのため 探索反射と直接関連する

 

反射でもあります。

 

反射運動動作としては

 

口の周りに触れると

 

触れた物を吸ったりする反射で

 

赤ちゃんの口唇の辺りに

 

触れたり刺激すると

 

舌を出してお乳を

 

吸うような仕草をする

 

動作反応の反射を起こします。

(図を参照)

この吸啜反射で 起こる 

 

お乳を吸う運動を

 

「吸 啜 運 動」といい

 

赤ちゃんがお母さんの乳房に

 

口唇と顎で吸いつき

 

舌で吸引しながら

 

蠕動(ぜんどう)運動し

 

お乳を絞り出す

 

という運動になります。

 

また この時お乳を

 

飲んでいる間は

 

鼻呼吸と嚥下を

 

同時に行っており

 

呼吸や嚥下機能が発達

 

していないこの時期に

 

肺への誤飲を防ぐために

 

赤ちゃんにだけにある

 

機構になります。

 

大人になるとこのようなことは

 

できなくなります。

(図を参照) 

 

このように吸啜反射で

 

起こる吸啜運動は

 

口唇,頰,顎,舌な どの

 

口腔諸器官が一体となって動くため

 

舌の筋肉や咀嚼筋群が鍛えられます。

 

こうしたことから赤ちゃんは

 

吸啜運動を行いながら

 

鼻呼吸と咀嚼を

 

学習していきます。

 

こうして鼻呼吸と吸啜が

 

一体となるお乳を吸う運動は

 

顎や舌を動かす咀嚼筋を

 

発達させると共に

 

これらを司る脳も飛躍的に

 

活性化していきます

 

また 舌と顎を動かす

 

神経と横隔膜神経が

 

首のあたりにある

 

頸神経叢(けいしんけいそう)で繋がっているため

(頸神経叢=脊髄神経から分岐し頭・首・上肢のうちに頭・顔・首へ繋がる神経叢の名称)

 

心臓と横隔膜と肺をも活発化させます

 

また 舌と頬と口唇がリズミカルに

 

運動をすることでも脳が活性化し

 

赤ちゃんの脳の言語中枢が

 

特に刺激され発達します

 

脳は筋肉を動かす司令塔ですが

 

同時に筋肉を使えば脳も活性化します

 

そして 乳臼歯が生え揃う頃には

 

鼻呼吸が身についているので

 

口を閉じて食べ物を十分に噛む

 

ことができる咀嚼(そしゃく)運動へと

 

移行することが できます。

 

そして  「鼻呼吸」が

 

習慣化していることが

 

歯並びに良い影響を

 

与えるといわれており

 

鼻呼吸が習慣になっているお子さんは

 

口の周りの筋肉(口輪筋)や

 

舌の筋肉が鍛えられており

 

そのため上下の顎の発育が

 

しっかりしているため

 

将来の歯が並ぶスペースが

 

きちんと確保されております。

 

また、鼻呼吸の習慣が

 

しっかりと身につくとで

 

身体の健康にもメリットが多く

 

風邪を引きにくくなったり

 

アレルギーやアトピー、喘息などにも

 

なりにくくなるといわれております。

 

また 鼻で呼吸することでも

 

脳にダイレクトに刺激が伝わるため

 

脳の活性化にもつながります。

 

「鼻呼吸」では

 

口輪筋や舌の筋肉が鍛えられるのすが

 

「鼻呼吸」ではなく「口呼吸」に

 

なってしまうお子さまや

 

離乳食が呑み込めないお子さまは

 

口の周りの筋肉の口輪筋や

 

舌の筋肉が弱いため

 

口を閉じる習慣が身につかず

 

口を閉じることが難しいため

 

口がどうしても開いてしまい

 

口呼吸になってしまいます。

 

また 嚥下をする際に口が閉じられず

 

口の中が陰圧にならないために

 

食べ物が呑み込めなくなります

 

そうした お子さまの

 

上唇を指でつまむと

 

とても薄いお子さんが

 

多いといわれており

 

吸啜運動(お乳を吸う)期間が短かく

 

お口の周りの筋肉(口輪筋)が 弱く

 

日常の生活でうまく

 

使われていないことが

 

原因ともいわれております。

 

また 咀嚼と嚥下の

 

複雑なしくみには

 

多くの脳神経が関わっています

 

・嗅神経 = においを感じる

 

・三叉神経(下顎神経)= 舌の運動と感覚

 

・顔面神経 = 舌の感覚(味、舌ざわり)

      口唇閉鎖

 

・舌下神経 = 舌の運動

 

・舌咽神経 = 舌根(舌の付け根)

       咽頭(のど)の運動と感覚

 

・迷走神経 = 咽頭・声帯・食道の

       運動と感覚

 

脳神経の12対うち6対が 関与しております。

(脳神経・三叉神経・顔面神経の詳しい内容は探索反射のブログをお読み下さい。)

 

このように吸啜運動は

 

よく噛む子を育て

 

脳をよく育てます。

 

 

吸綴反射が 残存・再出現した際に


とりやすい行動や症状として

 

・言葉や発音の問題

・飲み込んだり、噛んだりすることが困難

・食べるのが遅い

・食べすぎる

・口が寂しい

・猫舌

・誤嚥しやすい

・食べるときに音を立ててしまう

・口がゆるい、開いてしまう

・内ほほを噛んでしまう

・口の周りの刺激に敏感

・噛み癖(指や爪・タオル・鉛筆などを噛む)

・歯ぎしり、食いしばり、かみしめ

・歯並びが悪い、出っ歯

・不正咬合Class II (下顎が奥に入っている:受け口の反対)

・話しながら同時に手作業することが困難

・書くときに頻繁に舌や口が動く

・噛んだり、話したりするときに、特に手が不器用

・イライラしやすい

・我慢ができにくい

 

など 口の周りの筋肉や舌の筋肉が

 

関わる原始反射のため


多くの行動や症状が あげられますが


あくまでも探索反射が 関与している


゛疑い ゛がある行動や症状なので

 

絶対では ありません

 

 

そして 吸綴反射(sucking reflex)の 

 

残存・再出現を確認する

 

テスト方法です

 

(二人で行って下さい)

①テストを受ける方(被検者)は

仰向けに寝て口を半分開きます。

(検者に舌が 見えるぐらい)

 

②テストを行う方(検者)は

被検者の上口唇の上あたりを指で

軽く押し当てるように触れて下さい。

 

③このときに口が尖ろうとしたり

舌が前方や上方などに動いたりすると

原始反射が残留しています。

(図を参照) 

 

◎統合を促す方法として

(前回のブログ記事の探索反射のブラッシングと併用して下さい)

 

ブラッシング:筆や柔らかいブラッシなどで行って下さい。

 

下唇から指1~1本半ぐらいのところから顎の骨の縁に沿うように顎の付け根までなぞります。

 

ブラッシングは

 

根氣が必要で大変ですが

 

反射が消えるまで

 

1セットを

 

5回のブラッシングとして

 

1日に3セット以上は行って下さい。

(必ず左右行って下さい)

(図を参照)

 

肩や首と歩行なども

 

楽になりますので

 

試してみて下さい。

 

 

また 小さなお子さまの場合

 

顔に触れられたりなどの刺激を

 

とても嫌がり不快がるお子さんが

 

とても多いと思います

 

そういったお子さまの場合は

 

耳まわりと顎の付け根まわりを

 

優しく擦ってあげてください。

 

あと ピロピロ笛(吹き戻し笛)

 

などを使いたくさん遊ぶことでも

 

口周りの筋肉が 鍛えられ

 

統合を促すことができますので

 

利用してみて下さい。

 

 

このように吸綴反射は

 

赤ちゃんの発達に大切な

 

原始反射であり

 

発育に良い影響を

 

与えてくれる反射でもあります。

 

そして「母乳」を与えることは

 

実は母親にとっても良いことが多く

 

赤ちゃんがおっぱいを吸うたびに

 

母親の体の中ではホルモン分泌が行われて

 

子宮が収縮します

 

子宮の収縮は産後の母体の回復に

 

とても大切な役割を果たします

 

また 赤ちゃんと母親 両方に

 

消化管ホルモンも分泌するので

 

消化吸収もよくなります

 

このように母乳を与えることは

 

出産後の母体の回復を促進する役目も

 

担ってくれています。

 

そして何よりも

 

母親と赤ちゃんの

 

深いコミュニケーションに

 

つながりますので 

 

母乳期間を充分に

 

与えてあげてください。

 

 

次回からは原始反射の移行先になる

 

姿勢反射か それらに関わる脳神経か

 

何方かについて投稿して

 

いきたいと思っております

 

皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。

 

【お読み頂きまして ありがとうございました】