原則3 事前事実確認をする
参加者が個別に持っている情報をテーブルの上に出して共有する。
また、合意形成上必要となる情報やデータを事前に明らかにする。
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事前事実確認。
漢字が6文字並ぶと難しく感じますね。
コンセンサスビルディングでは、この言葉をこう説明します。
「合意形成上必要となる情報やデータを事前に明らかにする。」
会議や話し合いで必要な情報やデータは、料理でいう材料です。
料理は材料がないと作れない。
会議や話し合いも一緒です。
きちんと材料(情報・データ)を準備する必要があります。
ある会社の事例を挙げてみていきましょう。
医師紹介をしている株式会社ドクタードクター。
新規で力を入れていくエリア選定が会議の議題です。
参加者は田中営業部長と6名の営業メンバーの計7名。
東京、大阪、名古屋は盤石です。
この3つのエリアに続いて、どのエリアに注力していくのか。
北海道、金沢、福岡、京都が候補に挙がっています。
「まず候補エリアの状況を教えてくれ」
なるべく競合が少なく、
そんな思惑を旨に、田中部長は判断材料を求めます。
営業メンバーから情報とデータの提出をまとめるとこうなりました
・北海道 医師給与水準が高く、医師数も多い。競合も多数。
・金沢 競合は少ない。転職ニーズも低い。
・福岡 競合が多い。病院も付き合いの深い紹介会社を使う傾向がある。
・京都 医師の転職ニーズは高い可能性あり。競合は少な目。
「北海道は狙い目だが、競争が激しそうだな。
金沢はまだ市場に変化は見られないね。
福岡は新規で入っていくには、時間がかかりそう・・・。
でも京都は面白そうだな!」
田中部長の目は京都に留まったようです。
営業メンバーからも京都を押す声が挙がり始めます。
「京都は大阪も近いので狙い目かもしれないですね!」
「医師の給与水準も悪くないし、いいんじゃないですか!」
会議は2時間予定の1時間を経過。
新規重点エリアは京都にほぼ確定しつつあります。
この状態で休憩に入りました。
休憩中の喫煙室。
営業メンバー6名の中でたばこを吸うのは、
彼女の話しなどで盛り上がっています。
「そうかぁ、お前の彼女って意外と怒りっぽいよな。
あ・・・そうだ。ちょっと、気になったんだけど。
京都って京野大の医局が強くて病院は医師紹介会社を使わないんじ
東京担当の中田さんは素朴な疑問を大阪担当の野中さんにぶつけま
「ああ・・・、京都は京野大から医師派遣が多いよ。
大阪担当の野中さんの返しはあっけらかんとしたもの。
「おい、お前、なんでその情報を出さないんだよ。
それじゃあ、一番きついエリアかもしれないぞ!」
「いや、さすがに部長だって知ってるだろ。
「国立大学の牙城を簡単に崩せるかよ!休憩が終わったら、
たばこの煙に包まれた野中さんの表情に焦りの色が浮かび始めまし
休憩が終わり、野中さんは京都の状況を田中部長に報告。
「そうか。京都は京野大が強くて、他社も苦戦しているんだな。
京都はやめたほうがいいかもしれん。
ただな、野中。知っているなら、情報は早く上げてくれ。
さっきの1時間、もったいないじゃないか。」
「すみません・・・」
野中さんは情報を「誰もが知っている常識」と判断し、
決定権のある田中部長は京都の状況は把握していなかったのです。
結果として会議は遠回りをすることになってしまいました。
もし事前に野中さんが京都の状況を説明していたら・・・。
より早く会議は答えに辿りつけたかもしれません。
他の参加者もより多くの材料をもとに判断できたでしょう。
事前事実確認は会議の参加者の情報格差をなくすことができます。
自分にとっての常識は相手の常識とは限りません。
参加者が個別に持っている情報をテーブルの上に出して共有する。
会議をより意義あるものにする「事前事実確認」。
ぜひ実際のシーンで活用していただきたいです。
筆者:一般社団法人 日本コンセンサスビルディング協会
コンセンサスビルディング認定講師 三好 清太郎(みよし せいたろう)
⇒http://www.consensus-b.net/
発行人: 一般社団法人 日本コンセンサスビルディング協会
代表理事 小倉 広(おぐらひろし)
⇒ http://www.consensus-b.net/




