TYPE61 TANK
 モーターライズ1970年製初版キット
RE260モーター 単2電池×2本

これは後になってわかったのですが、私が子供の頃、『快獣ブースカ』を見ていたら、最初の頃の作品だったと思います。母屋を改造した主人公:屯田大作少年の発明研究所に近所の悪ガキ、メチャ太郎がとてつもなくでかいリモコン戦車のキューポラハッチを開け、コショウを入れ弾丸を発射しながら進んでいくシーンがありました。(ブースカ出動の巻)『あの大きなリモコン戦車は何だったのだろう?』と疑問を抱きながら時が経ってしまいました。いつの日か、ペラペラ模型誌を捲ってみると、記憶を呼び覚ますがごとくそれらしき戦車の幻影が現れたのであります。確定的には言えませんけれど、多分これがそうだろうと思いました。日本ホビー製の1/20のフル可動61式中戦車のリモコンプラモデルであります。カラー写真でそれが、雑誌から飛び出してきました。61式戦車の記憶と言えば、東宝の怪獣映画にひっきりなしに出てくる模型の戦車。山間部や都市部に現れ、遠方から怪獣めがけて白煙を吐く61式戦車の砲弾特撮に目を見張りました。そして、’70年代後半に製作された『戦国自衛隊』に出てくる、61式中戦車はもう大人になっていたので、その姿、形ははっきり覚えています。オープニングに劇用車両製作協力:鈴木技研工業(機械メーカー)とあり、テロップに陸上自衛隊協力と何処にも書いていなかったのでまさか61式戦車の実物模型を作ったのではないか一と思いました。気になってインターネットで調べてみたら、やっぱりブルドーザーを土台に製作された1/1の模型でした。(T字形の主砲が本
物より太いのが特長)これにはびっくりしました。
日本の技術ってやはりすごいです。実際、プラモデル作る時にこの戦車を本物だと思って迂闊にも
私は参考にしてしまいました。そして、最後に61式戦車のプラモデルを作ろうと一そのきっかけになったのが、’92年の秋、深夜、テレビで放映された『プレステージ』の大人のホビー特集!でありました。あれは良かったです。最後の方だったと思いますけど、ラジコンコーナーで金属ボディのデッカイ61式戦車のエンジン始
動仕様のラジコンが登場しました。ラジコン技術の編集長の解説に聞き耳を立て、緑色の戦車の勇姿
に惚れ惚れしたのを今も覚えています。いつか買って作ろう、作ろうと思っていましたが、機を逸して30年も過ごしてしまいました。嗚呼一、61式戦車は何処へ。
<製作日誌>
組み立て図の解説を見てみます。話は大分遡ります。1954年6月4日に防衛庁設置法が成立。同年翌月の7月1日にそれまでの警察予備隊から保安隊を経て、正式に自衛隊が発足しました。1955年当時、日本の地上での防衛力は第1次防衛力整備計画の中にあり、米軍から供与されたM24チャフイー、M4A3E8など、大半が第2次世界大戦で使用された旧式戦車であり、朝鮮戦争後、在日米軍の大幅な兵力削減により、独自最新鋭の国産戦車製造の気運が高まった一とあります。その後防衛計画は2次、3次と進み、その渦中で61式中戦車は生まれたとあります。試作品はST-A1からSTーA4まで4種類が製造され、61式戦車に至ります。特長は縦に長く、幅の狭い日本の国土地形を重要視して設計され、山間部の走行、鉄道輸送に合わせ狭軌仕様の車体作りとなっています。
詳しい解説に『うん、うん』頷きながら、

61式戦車のギヤボックスとクイック配線方式の電池ボックス。

写真は別パーツとなった車外装備品。

一一箱の中の戦車の車体下部を手にとります。実に細長い。ギヤボックスがギリギリで何とか収まる程度の幅。戦車の車体、特有の四角張った感じがありません。次にギヤボックスを手にする。大分年数が経っているせいか、歯車が錆びていて上手く回らないので、紙やすりで錆びを落とし、油で拭くとスムーズにギヤが回るようになりました。電池ボックスは田宮模型のお家芸、お馴染みのクイック配線でストレスなく組み上がります。
とにかく61式中戦車は各プラモデルメーカーがプラモデル誕生草創期から販売されていて、田宮模型はやや遅れた感がありました。一番の見所は、別パーツになった、車外装備品の多さでしょう。スコップ、工具箱、手すり、ハンマー斧など良く再現されています。特に車体正面に持ってきたワイヤーはポリ製で自然な弛みの表現ができるように施されています。後、ガントラベルロック(砲身支え)が可動式で主砲に架けることができる
のも、他社にない味わいを感じます。

     
トラベルロックのフックが開閉可動し砲身を固定できる。 乗り組み員ハッチがスライドで開閉する。
車体右に設置される乗り組み員ハッチはスライド式で、開閉が可能です。なおこのモデルは初版のキットで後に発売される61式中戦車改修版のように、砲身基部に装着済みのキャンバスパーツ仕様にはなっていません。車体の塗装は陸上自衛隊色XF73濃緑色かそれに近い色だったら何でも良いです。私の場合初期の頃の米軍に合わせたオーリブドラブ色を選んで塗装しました。
感想:いやぁー、やっぱり純正ギヤボックスは良いですよ!走行テスト一発OK。起動輪とキャタピラの相性もよく、外れずに静かに中速の走りを見せてくれました。