精神科専門医を所有しているのはあくまで最低限です。これだけは絶対に外してはいけないというレベルです。プラスの話ではありません。「無いのは話にならない」という意味です。精神科診断手続きには絶対ルールが存在し、それは精神の病気と診断する前に、必ず、身体の病気を除外する、というものです。このルールを外すと患者が死んでしまう可能性があるので、全ての精神科医は毎回の診療でこのことを意識し続けなければなりません。うつ病だと思っていたら橋本病だったでは話にならないし、幻覚妄想があるからといって統合失調症と決めつけ、抗精神病薬を飲ませているうちに、患者が脳炎で死んでしまったでは話にならないのです。


専門医試験を受ける際、研修医はこの点を徹底的に指導されます。下手な診療行為をしていると、指導医に「脳炎や自己免疫疾患は大丈夫?マーカーちゃんと調べた?」「てんかん、ちゃんと除外してよ」とつっこまれます。そういうことをつっこまない指導医では困るのですが。


専門医を取得すると言うことは、精神科診療の基本「作法」を学ぶことであり、それは政府や厚生労働省が目標とする標準治療の徹底を意味します。標準治療というのは医者の独断ではなく、科学的根拠(エビデンス)のある治療のことです。