鑑別診断に必要な情報というのは、患者の口から出てくる訴えが全てではありません。今、どこの精神科も待合室に人が溢れ、患者ひとりに費やせる診察時間はどんどん減っています。そういう過酷な条件で、正確な診断をすることが令和の精神科医に求められる能力です。診察時間が短いからこそ、効率の良い問診力が求められます。


たとえば、許容される診察時間が20分だったとしましょう。患者に自由にしゃべっていただくのは最初の5分です。それ以上になると、必要な情報を全部聞ききることができません。患者にとって何が不利益化と言えば、確定診断が先延ばしになり、的を得た治療を受けられないことです。令和の精神科医はタイムマネジメントに能動的でなくてはいけません。


優秀な医者は、最初の5分、患者が話している間、その話を聞く以外に、視診といって、目で診察をします。その場でカルテ記載はしません。20分という限られた時間に、必要な情報を全て収集するためには、この視診はとても大事です。そして患者が5分、話したのちに、


あなたのこの頃の顔色について、一緒に暮らしているご家族やパートナー、会社の同僚は何か言っていませんでしたか?顔色が良いとか悪いとか、やつれているとか、浮腫んでいるとか、乾燥しているとか、、。


精神の話より先に、患者の身体の症状について質問を始める医者は、信頼度の高い医者と私は思います。