精神科診断の正しい手順➁は、優先順位の高い疾患から検討する、というものです。精神科で最も優先順位の高い病気は統合失調症です。次が双極性障害。この2つの病気は、色々な意味で厄介ですが、薬物療法に良好な反応を示します。そしてなるべく早く治療した方が予後が良いというエビデンスがある。なのでもたもたしてられないのです。まずは身体疾患を除外しつつ、統合失調症と双極性障害の可能性を検討する。精神科外来の最初の4-5回の診察はこの件に終始すると言っても過言ではありません。


いくら患者が「自分はADHDかもしれない」と訴えているとしても、ADHDのような症状を呈する病気はたくさんあります。なので、とりこぼしのないよう手順に従い、きちんきちんと所見をとり、鑑別診断していかねばなりません。そういう記載をカルテにしておかないと、後から診察した医者が困ります。いったいぜんたい、この患者は何なんだ?ということになる。何という病気でどういう治療方針なのだ? 

後に診察する医者に余計なストレスをかけないよう、意図のわかるカルテを作成する。これは令和の精神科医の義務です。何故なら、ひとりの医者が外来担当を一日も欠勤せずに行えるとは限らない、そういう時代だからです。医者も人間です。家族の一員でもある。急に休まねばならないこともあるでしょう。その時に、替りの医者に余計な負担をかけないよう、普段から鑑別診断と治療方針は毎回カルテに記載する必要があるのです。