ある日、患者宅へ診察に行くと季節外れの風鈴が窓際で揺れていた。
ふとその短冊に目をやると…えっ
「君は君」って…
さらに裏には…
「俺は俺」…
おおっ
短冊が風に吹かれてくるくる回る。
「君は君」「俺は俺」「君は君」「俺は俺」…。
ある人にとっては哀しい別離の道を歩む二人が脳裏に浮かび、ある人には強く心に独立を誓う逞しい若者や後にライバルとなり激しく闘う事になる親友が思い描かれるのかも知れない。
「なんと深い事を書いた短冊なんだ」と感動し、書いたであろう本人を振り向くとベッドの上でガーガー大いびきで寝ていた。
…人の気配も感じずに…。
これこそが「君は君」「俺は俺」…なのか
-SHUN-