聖書の中で落穂拾いをしていたルツの
結婚秘話です。
古代イスラエルの結婚式の衣装がわからなかったので
お内裏様とお雛様が登場しちゃいました。
ルツとボアズの馴れ初めは
「どういう関係ですか?」の記事に書いたので
今回は結婚に至る経緯です。
彼らの結婚にはモーセの律法が関係しています。
律法のどんな事柄かというと
相続に関する話です。
律法では、神様がイスラエルの民に嗣業を与えています。
嗣業(しぎょう)ってなに???
神様によって分け与えられ、
受け継ぐべき財産のことで
特に土地についてみたいです。
神様から与えられた土地は
先祖代々大切に管理し、
子孫が受け継いでいきます。
旧約聖書
〔民数記27章8節-11節〕
あなたはイスラエルの人々に言いなさい、
『もし人が死んで、男の子がない時は、
その嗣業を娘に渡さなければならない。
もしまた娘もない時は、
その嗣業を兄弟に与えなければならない。
もし兄弟もない時は、
その嗣業を父の兄弟に与えなければならない。
もしまた父に兄弟がない時は、
その氏族のうちで彼に最も近い親族に
その嗣業を与えて所有させなければならない』。
主がモーセに命じられたようにイスラエルの人々は、
これをおきての定めとしなければならない」。
ルツのしゅうとのナオミは夫のエリメレクを亡くし
二人の息子も亡くし、
二人の息子には子供がいませんでした。
本来ナオミの夫エリメレクのもつ財産は、
夫エリメレクの兄弟か
親せきが所有することになりますが
聖書にはエリメレクの兄弟は登場しておらず、
親せきがいることが書かれています。
聖書の中でナオミがルツに
「あなたはボアズの所に行ってこうしなさい」と言って、
ルツがボアズのところに行って
言われた通りにしたことは
当時でいう求婚のメッセージだったようです。
ナオミは親戚であるボアズに
ルツを娶ってもらいたいと考えていることや
ナオミが亡き夫エリメレクの財産を
親せきであるボアズに
相続したいと考えていることに
ボアズは気付きます。
ナオミのメッセージを察したボアズが
ルツにこう言いました。
旧約聖書
〔ルツ記3章10節〕
ボアズは言った、
「娘よ、どうぞ、主があなたを祝福されるように。
あなたは貧富にかかわらず
若い人に従い行くことはせず、
あなたが最後に示したこの親切は、
さきに示した親切にまさっています。」
そして、ルツをナオミのもとに返した後
ナオミに最も近い親せきに声をかけ、
町の10人の長老の仲介のもと
相続について正式に取り決めをします。
ナオミが夫エリメレクの地所を売ろうとしてるけど、
あなたは買い取りますか?
もし買い取るならモアブの女ルツをも買って、
エリメレク一族の子孫を残さなければならないよ、と。
そしたら一番近い親せきの人は、
そんなことしたら自分の嗣業をそこなっちゃうから
ボアズがやりなさいと返事をしました。
ルツを買い取るっていう表現がびっくりでしたが
ルツもエリメレクの嗣業の一部という
意味なんでしょうか。
ところで、近い親戚が
ルツを娶るのを拒否した理由はこちらです。
旧約聖書
〔申命記23章3節〕
アンモンびととモアブびとは
主の会衆に加わってはならない。
彼らの子孫は十代までも、
いつまでも主の会衆に加わってはならない。
この律法がありながら、
ボアズは自分の遠い親戚ににあたる
エリメレクの嗣業を絶やさないために
モアブ人のルツを娶ったんですね。
そんなわけで、本来相続権を持つ
近い親せきが相続放棄したから
長老たちがいる前で
ボアズが正式にエリメレクの財産をすべて相続し
ルツを娶りました。
そしてルツが男の子を産みました。
〔ルツ記4章16~17節〕
そこでナオミはその子をとり、
ふところに置いて、養い育てた。
近所の女たちは
「ナオミに男の子が生れた」と言って、
彼に名をつけ、その名をオベデと呼んだ。
あれれ?
実際に子供を産んだのはルツなのに
なんでナオミに男の子が生まれたって言ってるの?
ナオミは自分の孫のようなオベデを
エリメレクの財産を相続する
養子という立場にして育てたという話のようです。
このオベデという男の子の息子が
エッサイで
エッサイの息子が
のちにイスラエル2代目の王様になる
ダビデ王です。
あ、そういう繋がりでしたか!
こうやって見ると
聖書の登場人物が
いろんなところで繋がってますね。
パズルのピースが少しずつ埋まっていくと
これまた意外な事実がわかってくるかもしれません。