適応障害の典型的な症例

(いままで診療してきた中で典型的だった適応障害の症例)

 

50代後半の女性。スーパーストアに勤務。30代後半に離婚。子供2人と3人暮らし。

精神科初診の1ヵ月前、左乳癌(術前診断:T1N0M0)に対して手術をして、その2週間後に退院した。退院後、病理診断結果の告知の日が近づくにつれて、不眠・不安感・呼吸苦・耳鳴りなどが強くなり、退院2週間後に車椅子で救急外来を受診し、同日再入院した。

 

その翌日、外科からの依頼で精神科初診になった。 

当日、外科主治医から病理診断結果の告知がなされた。その後、精神科初診になった。「病理診断結果を聞いてショックだった」「抗癌剤の副作用に耐えられるか心配」と呼吸速迫気味に訴えていた。

 

年齢に比べて若々しい印象だった。知的には問題なく自分の心配をきちんと話すことができていた。 金銭的には問題なかった。子供との関係は良好。

 

パニック障害・うつ病などはなかった。適応障害と診断した。

ワイパックス(ロラゼパム)を服用させ、症状が改善したため、同日夜に退院した。 

 

その後は外来で支持的精神療法と薬物治療をした。本人は抗癌剤の副作用の脱毛にもウィッグで冷静に対処した。そして初診から2ヵ月後には仕事に復帰した。

 

この人は昔かなり美人だったんだろうなあって感じの人だったな。