いい精神科医ってどういう精神科医なんだろう?
それを見分けるにはどうしたらいいんだろう?
考えてみた。
いい精神科医の条件
① 精神保健指定医や精神科専門医の資格を持っている
どっちも持っていない精神科医は、精神科医としての能力が疑わしい。お勧めできない。
クリニックや病院のWebサイトで医師の紹介を見ると、資格について載っていることが多い。
載っていない場合もあるけど、そういうときは、医師の経歴を見るといい。精神科医としての臨床経験がきちんとあるのか確認できる。
はっきり書いていない場合は怪しい。
県内にどうしようもないやぶ医者が1人いるんだけど、そのクリニックのWebサイトの医師紹介はかなり怪しい。資格については載っていない。
「○○大学医学部卒業後より、精神科診療に携わり、○○年以上の臨床経験を…」って書いてあるけど、具体的なことは何ひとつ書いていない。
たぶん、すぐに開業して勉強もろくにしないで自己流の治療をしてきたのだろう。
(ところで、専門医資格については、日本精神神経学会のWebサイトで検索できる。でも資格を持つすべての医師が載っているかどうかまではわからない。)
② 初診のとききちんと必要な時間をかける
患者さんの症状を聞いて正確に診断するためには最低でも10分は必要。できれば30分は必要だと思う。
③ 診断や治療について患者さんにきちんと説明する
例えば、「うつ状態」って言うのはきちんとした診断名じゃない。
そんなことは精神科に行かなくたって自分で調べればわかる。
せめて、「うつ病まではなっていないストレスのうつ状態です」とか、「専門的な診断名でいうと適応障害です」とか説明してほしい。
例えば、はっきりわからないときでも、「はっきりわからないけど、いまのところうつ病を疑っています」とか説明してほしい。
治療についてもきちんと説明してほしい。精神科の薬って何か怖いなって思っている患者さんもいるから。
例えばSSRIについてだったら、「ハイになったりする危険な薬じゃありません」とか、「効果が出るまで2週間ぐらいかかります」とか、「胸焼けや吐き気が出る場合もありますが、1週間ぐらいで治まることが多いので、我慢できるようなら飲み続けて下さい」とか。
症状が落ち着いたら、今後の治療についてもきちんと説明してほしい。
いずれは薬を飲まなくても済むようになるのか、ストレスになっている問題が解決すれば薬を飲まなくても済むようになるのか、そのためには何かするべきことはあるのか、長期間の維持治療が必要になるのか、など。
④ 薬物治療だけではなく助言や支援ができる
例えば職場のうつだったら、その人がどんな仕事をしているのか、仕事をしていて何がつらいのかわからないと、適切な助言ができない。
症状改善のためには、仕事を休んだほうがいいのか、仕事に行ったほうがいいのかもわからない。
きちんとそういうことも聞いて、助言ができないとだめだろう。
職場のうつは薬だけでは治らないことが多いから、環境調整を提案するのは大事なことだ。
薬を処方する必要がない人や、薬を処方しないほうがいい人だっている。
睡眠不足が続いて疲弊している人の場合は、「毎日7時間寝ましょう」と助言すれば治る。
例えば認知症だったら、介護保険の導入を勧めたり、家族に対応方法の助言ができないとだめだろう。
生活に困窮している人だったら、医療費の公費負担制度や、場合によっては生活保護の申請が必要になることもあるだろう。
そういう支援もできないとだめだと思う。
⑤ BZD(ベンゾジアゼピン)系薬を安易に処方する精神科医ってどうかなあ
量や種類が増えていったり、症状が落ち着いた後もずっと処方し続けるのは良くない。個人的にはBZD系薬は嫌い。治療がなかなか終わらないから。
でもそういう精神科医って多い。困る。
⑥ ネットのクチコミ情報は鵜呑みにしないほうがいい
業者や関係者が書いたっぽい嘘くさい情報が載っていることがある。
お金を払えば、悪口を消してくれる業者もいるらしい。(これは本当のことらしい。2021年8月22日の読売新聞オンラインに載っている。)
初めて精神科のクリニックや病院に行くときは、心配だし緊張するんじゃないだろうか。怖い先生だったら嫌だなと思ったりもするだろう。
だから患者さんは、医者の愛想が良かったりすると、それだけで安心してしまって、いい先生だと思ってしまいがちだ。
でも、クリニックや病院の治療の質が高いかどうかまではあまりわからないんじゃないかな。
そうなると、愛想がいい先生、やさしい先生が、クチコミで高評価になってしまいがちになるだろう。
一方で、ネットのクチコミ情報って、本質的には、嫌な思いをした人が憂さ晴らしをしたくて書いていることが多いのではないだろうか。
Googleのクチコミ評価って、どこのクリニックや病院も概ね低いから。
ネットのクチコミ情報はあてにならない。あまり信用しないほうがいい。
⑦ かかりつけの医者がいるんだったら、その医者に聞くといいんじゃないだろうか
もしその医者が知っていたら、医者から見ていいと思う近くの精神科医を教えてくれるだろう。
以上、何となく思いつくままに書いてみた。
これだけでは十分じゃないかもしれないけど、だいたい大事だと思うことは書いた。
あと、できれば医者任せにしないで自分でも色々調べて勉強したほうがいいだろう。(そのときは、クリニックや病院や薬局などの信頼できる情報を見て下さい。)
そしてわからないことがあったら、どんどん医者に聞いたほうがいいと思う。
そのほうが、納得できるいい治療を受けられるんじゃないだろうか。