せん妄の治療をするとき、患者さんが糖尿病だとクエチアピンは禁忌だから、代わりにリスペリドンを使うことになる。
でもリスペリドンは効果が長くて使いにくい。リスペリドンはパリペリドンに代謝されて長く効くけど、その半減期は21時間で、腎臓が悪いとさらに延びるから困る。
昔、せん妄のおばあちゃんにリスペリドン0.3mgを夕食後に処方したら、翌朝はすっきり起きてたのに、その3日後は午前中ずっと、眠そうにぼんやりしてしまった。
その人は腎臓は悪くなかった。遺伝的にCYP2D6の代謝活性が低い人だったのかな。
たまにそういうことも起きる。
静穏作用が弱いので、あまり効かないことも多い。だから夜間の不穏には、ベルソムラかデエビゴを併用して、それでもだめならアタラックスPを足したりしている。
例えばこんな感じ(↓)。
夕食後
リスペリドン 0.25~0.5mg
(効かなければ1mgまで増量)
+
ベルソムラ 10~15mg
または デエビゴ 2.5~5mg
+
アタラックスP 25~50mg
不穏時(夜用)
リスペリドン 0.25~0.5mg/回
+
アタラックスP 25mg/回
「夕食後から午前2時までに不穏時と2時間以上あけて4回まで服用可」
これで夜は落ち着くことが多い。
もしこれで午前中も眠くなってしまったらどうするか?
そのときは夕食後のリスペリドンを中止してルーランに変えて、ベルソムラやデエビゴやアタラックスPも中止してロゼレムに変える。
不穏時のリスペリドンとアタラックスPを中止してルーランに変える。
これで何とかなることが多い。
リスペリドンの弱い静穏作用は、昼間の不穏には有利だ。クエチアピンに比べて、ぼんやりしたりふらふらしたりしにくいから。
もともと認知症があって、昼も不穏になってしまった人などには、上記の不穏時(夜用)の他に、不穏時(昼用)でリスペリドンを処方すると良いと思う。
例えばこんな感じ(↓)。
不穏時(昼用)
リスペリドン 0.25~0.5mg/回
「午前2時から夕食後までに不穏時と2時間以上あけて4回まで服用可」
もしこれで過鎮静になってしまったら、リスペリドンじゃなくてルーランにすると良い。