せん妄の治療にはクエチアピンを使うことが多い。

 

リスペリドンと比べて、静穏作用が強いからきちんと寝てくれるし、半減期が短いから朝はすっきり起きてくれる。

 

夕食後に、ベルソムラかデエビゴと併用して12.5mg~25mgを処方することが多い。

せん妄は、本人にとって悪夢を見ているかのようなつらい状態だと思うし、転倒転落などの危険が高まるし、深夜になるほどひどくなる。だから寝る前ではなくて夕食後に早めに薬を飲んでもらったほうが良い。

寝る前だと「こんな変な薬飲まない」とか「毒が入ってる」とか言って拒薬する可能性も高くなるし。

 

不穏時もクエチアピンを処方する。1回量は夕食後の半分にすることが多いけど、不穏が激しい人だと夕食後と同量にすることもある。

使い方は「夕食後~午前2時までに不穏時クエチアピンと2時間以上あけて4回まで服用可」とすることが多い。

 

僕は総合病院で、内科や外科に入院している高齢者のせん妄に対応している。不穏が激しいせん妄でも、夕食後のクエチアピンを50mgまで、不穏時のクエチアピンの1回量を25mgまで増やすと何とかなることが多い。

 

クエチアピンの残念なところは、糖尿病の人や糖尿病だった人に使えないこと。これはけっこう困る。

あとは口腔内崩壊錠や液剤がないことだな。