健康診断で“eGFRが低い”と言われたら
~不安を安心に変える4つのヒント~
【第1回】eGFRが低いってどういうこと? 基礎知識を整理しよう
はじめに
健康診断の結果に「腎臓の数値が悪い」と書かれていたり、「再検査が必要」と言われると、とても不安になりますよね。
よくいただくご質問が、「eGFR(推算糸球体濾過量)が低いと言われました。どうしたらいいですか?」というものです。
「このまま悪化してしまうのでは?」「透析になるの?」そんな心配をされる方も少なくありません。
けれど、腎臓からのサインを早めに受け取ることで、生活を整え、進行をゆるやかにすることは十分可能です。
そこで今回から、「健康診断で“eGFRが低い”と言われたら ― 不安を安心に変える4つのヒント」と題して、4回に分けてわかりやすくご紹介していきます。
· 第1回:eGFRが低いってどういうこと? 基礎知識を整理しよう
· 第2回:食事と生活習慣 ― 腎臓をいたわる毎日の工夫
· 第3回:よくある不安Q&A ― 医師に相談したいことリスト
· 第4回:未来の腎臓を守るために ― 今日からできるセルフケアとレシピ
GFRとは何か
GFRとは、腎臓が1分間にどれくらい血液をろ過できるかを表す指標です。腎臓は老廃物を尿として排出し、水分やミネラルのバランスを保つ重要な役割を担っています。
健康診断では、血液検査で調べる血清クレアチニン値・年齢・性別などをもとに「eGFR(推算GFR)」が算出されます。つまり「クレアチニンが高い=腎臓のろ過能力が下がっている可能性」を示すのです。
eGFRの基準値と目安![]()
・一般的に 60 mL/分/1.73m²以上 が正常の目安とされます。
・90以上であれば「正常〜高値」と表現されることもあります。
・ただし、加齢とともに腎機能は自然に低下するため、高齢者では多少低くても直ちに異常とは限りません。
「130-年齢」が目安になるとも言われ、40歳なら約90、60歳なら約70程度。年齢に応じてゆるやかに下がるのは自然な変化です。
「低い=病気」とは限らない理由
eGFRは一度の測定で大きく変動することがあります。
· 脱水や下痢などで体内の水分が不足しているとき
· 激しい運動の直後
· 発熱や一時的な体調不良のとき
· 一部の薬剤の影響
このような場合は、一時的に低く出ても体調が戻れば改善することが少なくありません。
· 数値が継続して低下しているかどうか
· 過去の健診との比較で下がってきているか
これらを確認するために、再検査や定期的な経過観察が欠かせません。
慢性腎臓病(CKD)との関わり
一方で、60未満の数値が3か月以上続く場合は「慢性腎臓病(CKD)」と呼ばれる段階に入ります。
背景に糖尿病や高血圧といった生活習慣病があると、腎臓に負担がかかり、ゆるやかに機能が落ちていく可能性があります。
· 糖尿病性腎症:長い間にわたって血糖が高い状態が続くと糸球体が傷つき、ろ過機能が低下する。
· 高血圧性腎硬化症:血圧が高い状態が続くと腎臓の血管が硬くなり、血流が悪化する。
こうした変化は初期には自覚症状が乏しいため、検査数値が「早めのサイン」になるのです。
医師に相談するときのポイント
·「過去の数値と比べてどうですか?」
·「この数値は私の年齢ではどのくらいの意味がありますか?」
·「再検査はどのくらいの間隔で受けると安心ですか?」
·「生活で特に気をつけることは?」
こうした質問をしておくと、必要以上に不安にならずにすみます。
まとめ
・eGFRは腎臓のろ過能力を示す数値で、血清クレアチニン値などから算出される
・60以上が正常の目安、加齢とともに自然に低下する
・脱水・運動・発熱などで一時的に低く出ることもある
・一度だけでは判断せず、再検査や経過観察が大切
・持続して低下が見られる場合は、生活習慣病が背景にあることも多く、CKDの初期サインになり得る
数値はあくまで体からのメッセージ。焦らず、必要に応じて再検査や医師への相談を行い、未来の腎臓を守る一歩につなげていきましょう。
次回は![]()
「eGFRが低いときに見直したい食事と生活習慣」
についてご紹介します。
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