【今月のそうだん】

婚約していた彼氏と破局しました。慰謝料や結納金、婚約指輪はどうしたらいいの?



【Q】

昨年夏に婚約指輪を渡しつつ「結婚してほしい」とプロポーズされ、結納を納めてもらいました。しかし、彼氏が婚約後にも他の女性と男女関係を持っていたことが発覚したので、婚約を解消することになりました。

既にもらった婚約指輪や結納、慰謝料などはどうしたらいいのですか?

【A】

婚約とは、男女が、誠心誠意をもって、将来夫婦となるべきことを確定的に合意することをいいます。明示的なプロポーズ、婚約指輪のプレゼントや結納がある本件では当然に婚約は成立します。

婚姻は、当事者ともに婚姻届を提出し夫婦関係を設定する意思がないと成立しませんので、婚約しただけでは婚姻を強制することはできません。ただし、本件では、彼氏による婚約後の浮気という有責行為があったので、婚約破棄に伴う損害賠償請求(慰謝料請求)が認められます。

結納は、婚約の成立を確証し、あわせて、婚姻が成立した場合に当事者ないし当事者両家間の情誼を厚くする(つまり、良好な関係を築く)目的で授受される一種の贈与であるとされています。婚約指輪や結納返しも同じように考えられます。婚約の解消により、婚姻を成立させるという目的が達成できなかったことから、結納、婚約指輪は返還するのが原則です。

しかし、彼氏の有責行為によって婚約破棄に至ったのですから、彼氏からの結納の返還請求は信義則上認められないことが多いです。ただし、慰謝料と結納の二重取りにならないよう、慰謝料請求の認められる金額が調整される傾向にあります。



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宍粟市社会福祉協議会発行『こんにちは!社協です!!』N0.189(2021.3.15発行)7頁「権利擁護のそうだんコーナー」より

https://www.shiso-wel.or.jp/cgi-bin/bbs/data/magazine/attached/cfce8b263180-e727-4a17-0af6-1615514490.pdf