読書:小説太平洋戦争 山岡荘八 著 | 聖心美容クリニック 伊藤哲郎

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以前、Kindleのセールで購入したものの、あまりの文量になかなか手を出さず、積ん読になってたこちらをやっと読み終えました。

73回目となる終戦記念日を前に太平洋戦争に至った経緯、また東京裁判までの通史を知っておきたいとこの本を選びました。

 

著者は従軍記者としての経験があり、また戦後には戦争当事者への取材や手記を元に昭和37年より月刊誌に10年にわたって掲載されていた小説というより、むしろノンフィクションに近い大作です。

 

執筆が開始されたからでも50年以上も経っており、戦争を実際に経験された方々は大変少なくなってしまい、私も含め、戦争を知らない世代が大半となり、遠い過去で自分とは関係のない出来事のように感じるかと。

 

いろいろな歴史観があるので、詳細は省きますが、様々な思いを抱えながら、数百万人が犠牲となられたこの戦争を、現在へ綿々と続く私たち日本人は知っておく必要があると思います。

 

通史として書かれていることで、明治より勃興した日本軍の精強さは初戦では十分に発揮されるも、ガダルカナル島の戦い以降の形勢転換期以降より、無理を無理で取り返そうとより綻んでいく過程がよく分かります。

 

終戦後を書いた9巻の最終章は満州国解体に伴う、在満日本人の受難に頁を割かれてますが、ある少年の手記の惨憺たる内容には涙なくして読めません。

 

 

著者はあとがきは、

 

”私は侵しもしなければ侵されもしないという平和に徹して生きる可能性を、わが民族の中に楽観している。

戦争よ、さようなら!”

 

と締めくくられています。

 

戦争は確かに起きておらず、著者の予想通りかもしれませんが、もし現在生きておられたら、どう思うのかと考えさせられます。