タクシーは運転手との運賃交渉が必要だと「地球の歩き方」に書いていた
ため、バスに乗りたかったのだが、そんなこんなで(前回の記事)
結局、タクシーに乗り車窓の景色を見入っている自分が腹立たしかった。
空港を離れてしばらく荒涼とした風景が続いている。
こんなところで降ろされて法外な金額を要求され路頭に迷うという
嫌な想像が、無味乾燥な車窓の風景と一緒に追いかけてくる。
いやいや、取り囲まれた私に助け舟ならぬ助けタクシーを出してくれた
運転手を信ずるのみと、払拭する。
何度も、2つの考えが頭の中で行ったり来たり。
運転手が話しかけてきた。
今まで、私のような日本人のバックパッカーを何度となく乗せてきたらしい。
これを見ろと、ハンドル片手にB5判くらいの小さなアルバムをダッシュボード
から取り出した。
見ると、ポラロイドカメラで撮影された写真が何枚も整然とアルバムにおさめ
られている。中には欧米人の写真もあったが、そのほとんどが日本人もしくは
韓国人らしきバックパッカーの若者をシャッターにおさめたものであった。
写真には被写体の若者が書いたらしい、お礼のメッセージが添えられていたり
している。
日本語をみてほっとした。
車窓の風景は、いつのまにか荒涼とした風景から、ところどころにひまわり
が咲く田園風景となっていた。
運転手は心底、日本に強い憧れを持っていて、いつか行ってみたいと
言った。
車内では、チャゲ&飛鳥が流れていた。
乗ること1時間。
タクシーに1時間も乗るという経験は日本でもしたことがない。
相場は100元ぐらいか?
日本なら1時間ものるような道のりだと1万円はゆうに越えてしまう。
それを考えただけでも、100元は1000円程度なので安いのだが、実際に
中国内にいると高く感じてしまう。全くゲンキンなものである。
タクシーはいよいよ市街に入り、西安駅の前の広場で降ろしてもらう
ことになった。
「80元」と運転手。
バックパッカーなら値段交渉してナンボというのが私の中であったのだが、
意外な安さと、安心して乗せてくれたことに感謝し値切り交渉は
しなかった。
そして、自分の中途半端な笑顔がポラロイドカメラにおさまったのは
いうまでもない…。
(不定期に続きます)
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