一括交付金化と日本のグランドデザイン | ニュースな話題

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民主党代表選で、小沢氏が一括交付金化を強く主張し、マスコミでも取り上げられるようになってきた。

小沢氏は、一括交付金化は、消費税増税に頼らなくても地域主権改革を進められる点で、「一石二鳥、三鳥の政策だ」と主張されています。



一括交付金化の議論については、


■平成21年12月14日 第1回地域主権戦略会議

  地域主権戦略会議の工程表(案)(原口プラン)で、一括交付金化の議論の工程表が提示


■平成22年 4月19日 ひも付き補助金の一括交付金化に関する地方ヒアリング

  http://www.nga.gr.jp/news/2010/post-554.html


■平成22年 5月24日 第5回地域主権戦略会議

  神野主査提出資料「一括交付金化の基本的な考え方(試案)」を元に議論

1 趣旨
(1)目的
地域のことは地域が決める「地域主権」を確立するため、国から地方への「ひも付き補助金」を廃止し、基本的に地方が自由に使える一括交付金にするとの方針の下、現行の補助金、交付金等を改革する。
(2)原則
こうした目的からして一括交付金は、いかなる政策にどれだけの予算を投入し、どのような地域を目指すのかを、住民自身が考え、決めることができるよう、地域が「自己決定できる財源」としてデザインされなければならない。これにより、地域の知恵や創意が生かさ
れるとともに、効率的・効果的に財源を活用することが可能となる。


■平成22年 6月 4日 全国知事会

  「一括交付金化の基本的な考え方(試案)に対する緊急声明について」

  http://www.nga.gr.jp/news/2010/post-581.html

1 「大原則」にあるとおり、「一括交付金化の目的は、地方の自由裁量を拡大し、実質的な地方の自主財源に転換するものであること」であり、「地方の自由裁量拡大に寄与しない補助金等は、一括交付金化の対象としないこと」といった観点を踏まえ、

(1) 「基本的な考え方」で示されている「現金給付は国、サービス給付は地方」といった原則を徹底するとともに、

(2) 同時に、「サービス給付」であっても、地方にとって自由裁量拡大に寄与しない補助金等は、一括交付金の対象から外すこと

2 一括交付金の総額については、一括交付金の対象となる現行の補助金等と同額を確保すること
3 国の出先機関等から都道府県予算を経由せず、民間事業者等へ交付されている補助金等(いわゆる「空飛ぶ補助金等」)は、都道府県が実施する事業との連携を図りその効果を最大限発揮するとの観点や、公的支出のガバナンスの観点などから問題が多いものと考える。
このため、この空飛ぶ補助金等のうち、各地域の振興に関するものなど都道府県が主体的に政策的な裁量を発揮できる補助金等についてはこれを廃止し、一括交付金の対象とすること


■平成22年6月10日 全国知事会

 「地域主権関連3法案の早期成立を求める要請活動及び地域主権戦略大綱への意見について」

 http://www.nga.gr.jp/news/2010/post-583.html

  

 地域主権戦略大綱について(意見) http://www.nga.gr.jp/news/H22.06.10syukenntaikouhenoikenn.PDF

4 ひも付き補助金の一括交付金化
(一括交付金化の目的、対象範囲等)
・ 一括交付金化の目的は地方の自由裁量の拡大・実質的な地方の自主財源への転換であることを明確にすること。
・ 一括交付金は過渡的な制度であり、将来的には国から地方への税源移譲を行うことを明確にするとともに、地方交付税の充実・強化等につながるものとすること。
・ 「現金給付は国、サービス給付は地方」を原則とし、「サービス給付」のうち、地方にとって自由裁量拡大に寄与しない義務的な補助金等は、一括交付金の対象としないこと。
・ 括り方や配分方法など一括交付金化の具体的な制度設計に当たっては、地方の必要な事業の計画的実施に支障が生じることのないよう、継続事業や団体間・年度間の変動が大きい市町村に配慮しつつ、地方と十分協議すること。
(総額確保)
・ 一括交付金の対象となる補助金等の総額については、現行の補助金等の額と同額以上とし、財政力の弱い団体に配慮する等、個々の団体においても事業実施に十分な財源を確保すること。
・ 地方の意思を十分反映し、必要な予算総額を決定できる仕組みを確保すること。
3
(空飛ぶ補助金)
・ 国から地方自治体予算を経由せず、民間事業者等へ交付されている補助金(いわゆる「空飛ぶ補助金」)は、地方自治体が実施する事業との連携を図り効果を最大限に発揮するとの観点や、公金支出のガバナンスの観点等から極めて問題が多い。このため、地域振興に関するものなど、地方自治体が政策的な裁量を発揮できる補助金等は、廃止し一括交付金化すること。


■平成22年 6月22日 地域主権戦略大綱(閣議決定)

http://www.cao.go.jp/chiiki-shuken/keikakutou/100622taiko01.pdf

第5 ひも付き補助金の一括交付金化
1 趣旨
(1)目的
地域のことは地域が決める「地域主権」を確立するため、国から地方への「ひも付き補助金」を廃止し、基本的に地方が自由に使える一括交付金にするとの方針の下、現行の補助金、交付金等を改革する。
(2)原則
こうした目的からして一括交付金は、各府省の枠にとらわれず、ブロックの政策目的の範囲で、いかなる政策にどれだけの予算を投入し、どのような地域を目指すのかを、住民自身が考え、決めることができるよう、デザインされなければならない。これにより、地域の知恵や創意が生かされるとともに、効率的・効果的に財源を活用することが可能となる。



と進んできたようです。

(「地域主権戦略会議及び地域主権戦略大綱について」(神野直彦・東京大学名誉教授)

 http://www.toshi.or.jp/bunken/100714_2_1.pdf  と、全国知事会HPを参考)



一見して、当時の鳩山政権の下では、『地域主権改革は、鳩山内閣の一丁目一番地である重要課題』 とされたことを受けて、大綱は大胆に踏み込んでいるとの印象を受けました。

また、全国知事会も、「一括交付金の額は現行補助金と同額とすること」など、地方にとって少しでも

デメリットがなくなるよう釘を刺しているものの、基本的な方向性は了承しているように思えます。



まあ、いいんじゃない… 

と思っていたのですが、


ところが、おっとどっこい、以下のブログをみると、かなり様相が違って見えてきました。

山の舟歌・第2章(新城市長ブログ) http://tomako.dosugoi.net/e61477.html

つまり、神野試案と政府最終案段階では「似て非なるもの」になってしまったようなのです。



まず、目的に関して、表現ぶりが微妙に違っています。国のタガがはまっています。


次に、一括交付金の対象範囲について、

地方の自由裁量拡大に寄与しないものは対象としないとなっています。

この点、全国知事会も同様の意見ですが、同床異夢の感じもします。



社会保障・義務教育関係についても、大綱では、

社会保障・義務教育関係」については、国として確実な実施を保障する観点から、必要な施策の実施が確保される仕組みを検討するとともに、基本的に、全国画一的な保険・現金給付に対するものや地方の自由裁量拡大に寄与しない義務的な負担金・補助金等は、一括交付金化の対象外とする。


となっていますが、上記ブログによると下線部分がミソとのこと。

地方の自由にやらせない方針が見事に組み込まれています。



こうした発想は、鳩山前総理の言っておられた「補完性の原則」(イメージ図:
http://www.cao.go.jp/chiiki-shuken/kaigi/kaigikaisai/kaigidai03/3shiryou03.pdf  の1ページ)

とは、違ったものになってしまっているといえないでしょうか?

つまり、鳩山前総理の発想は、「国の取り分(仕事)は最後に決める」ものでしたが、

大綱では「まず国の取り分を決めて、残りを地方自治体へ」という発想にみえます。



こうした動きの中で出てきたのが、小沢氏パージョンの一括交付金化構想です。

(前置きが長くなりました(・・。)ゞ)

小沢氏の構想は、全国知事会が「要らない」と言っている保険・現金給付も含んでいるため、

全国知事会は戸惑いを隠せないようです。

また、これで2~3割カットされても給付分は削れないので、結局、地方の持ち出しが増えてしまうとの心配もあるようです。



これに対して、菅首相は、

「一括交付金化するという方向は、党の方針として決めていますから、当然やるわけです」、

「(国が地方に交付する金額を)半分にするというようなことまではですね、やはりちょっと難しいのではないか」

と述べています。
http://www.youtube.com/watch?v=M88uBSKXZ-k


また、管氏は、9月5日のNHK日曜討論では、

「地方向けの補助金が生活保護、介護保険とかに当てられている。したがって、補助金をやめて交付金にしても額そのものを2割3割削るのは難しい。」

「一括交付金化という問題と本当に財源が出るのかという問題は自治体の皆さんの声も聞いて対応していかなければいけないと思っている。」
とも述べています。


→自治体に聞いても、「自由に使えるお金を全額くれ」としか言わないでしょうねヾ(@^▽^@)ノ



菅氏の現実論も大切ですが、ただ忘れてはいけないのが本質的なこと。

財源、財源っていうけど、一括交付金化の本質は財源論ではないはず。

国と地方のグランドデザインをどう描くかで論じてほしいです。

(この点、小沢氏も、一括交付金化を地域主権改革の柱としつつ、同じくらいの比重で財源対策の観点も持ち出したもんですから、財源論にスポットが当たってしまった点は、説明があまり上手とは言えなかったですねえ。)



今回、地方自治体は、保険・現金給付まで請負うのはヤダと反発しています。

しかし、国と地方の関係を考えたとき、住民に身近な福祉サービスは地域で担うのがいいという考え方もあるんじゃないでしょうか。



小沢氏は来年度にも導入したいと主張しています。

それでもいいですが、できれば、道州制のような大括りにして受け皿を整えた上で、

各地域でサービスの量、質も決めていくという発想にしたらおもしろいと思う。

その結果、例えば、「関西州」と「東北州」でサービスの内容が変わることもありえます。

もちろん最低基準(セーフティネット)は国が決めた上での話です。

また、当然、税収が少ない地方には、手厚く交付税、交付金を配分しておく必要があります。



そうした上で、地域がお互いにサービスの質量を競い合う。

そのためには魅力ある地域にしなければならないし、住民も地域サービスの在り方、水準について、積極的に議論に参画していくことが求められる。



もちろん、そこまでは必要なかろう、やはり現金給付は国がやればいい、というのも、

もう一方の考え方として当然ある。

せっかくだから、そうした国と地方の在り方、日本のグランドデザインまで踏み込んで、お二人の意見を聴いてみたいですね。



*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆  ☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*  ゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆



ちなみに、私は1年前のブログで、「一括交付金化で2割3割減らせる!」と、

今の小沢氏と同じようなことを書いたことがありました。

http://ameblo.jp/seisakuron/entry-10313531533.html



このときは、ひも付き補助金が49兆円あるという前提で、これを地方等が自由に使える交付金化して予算を10%カットするくらいなら何とか可能ではないかいうものでした。



これに対し、今回の議論は、一般会計の地方向け補助金約20兆円を念頭に置いた議論がされています。


  地方向け国庫補助金等の全体像(平成22年度当初予算)

  http://www.nga.gr.jp/news/shiryou2-220420ikkatsukoufukinnhia.pdf



49兆円が20兆円に置き換わった理由がわかりませんが、そもそも私の捉え方が間違っているかもしれません。悪しからず。しかし、仮に、以前のマニフェストで出されていた49兆円で議論したら、一括交付金の議論はもっと活性化すると思います。 (49兆円てどういうふうに出していたか、もうとっくに忘れました…)



いずれにしてもですよ、

この財政難では、交付金化をするにしろ・しないにしろ、どっちにしても、将来的に補助金は減らされていくんですよ。 (たぶんネ ((>д<)) )



一括交付金化の議論では、そこまで視野に入れて考えておいた方がいいと思います。 

つまり、はっきり言わせてもらうと、


『どうせ減らされるくらいなら、今のうち、交付金としてもらっとけば~』


ということですよ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚



※表題でグランドデザインといいながら、最後の最後に「もらっとけ」とは。

 我ながら笑ってしまいます… (また後日こっそり結論を書き換えます)


【その他参考】


地方公共団体への財政資金の流れ(13年度決算)

http://report.jbaudit.go.jp/org/h14/2002-h14-1042-1.htm


補助金改革と税源移譲等(国と地方」の改革)

http://www.mof.go.jp/finance/f1605e.pdf


小沢氏の罠? 社会保障費の交付金化

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/dompolicy/436241/