リーマンは見限り、AIGは支援か。
AIGが莫大な保証・保険業務を担っていることのシステムリスクを勘案したようですが、
ケースバイケースで判断するとなると、「次」はどうするのか?
アメリカ政府・FRBの動向からしばらく目が離せません。
AIGに公的資金、850億ドル融資…米政府が株8割取得
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080917-OYT1T00357.htm?ref=kizasi
【ニューヨーク=山本正実】
米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、経営不振から株価が急落している米保険最大手のAIGに、最大850億ドル(約9兆円)を融資すると発表した米政府はFRB融資の見返りとして、AIGの発行済み株式総数の約80%分の株式取得権を得る計画で、AIGは事実上、当局の管理下で再建を図ることになる。米政府は、15日に経営破綻した米証券4位のリーマン・ブラザーズの救済には公的資金を使わなかったが、AIGの救済策では一転、公的資金を活用することにした。
融資はFRB傘下のニューヨーク連邦準備銀行を通じて実施する。期間は24か月で、AIGの全資産を担保とする。米政府は株式を取得することにより、優先株や普通株への配当実施を拒否する権限を持つ。AIG内部の資金が不当に流出するのを防ぐことができる。
連邦準備法は「緊急かつ急迫した環境」に限り、FRB傘下の連銀が銀行に限らず一般企業や個人に融資できると定めている。ただ、実際の融資先としては、連銀との取引がある銀行や証券会社に限られると見られていた。同法を適用してまで保険会社への融資に踏み切るのは極めて異例の措置だ。
FRBは声明で「最近の事情から判断して、無秩序にAIGが経営破綻すれば、金融市場の脆弱性がさらに拡大し、資金調達コストも急上昇する」と、緊急性を強調した融資の目的については「AIGが債務を履行できるようにすることだ」と説明している。
AIGは今年4~6月期決算の純利益が53億5700万ドル(約5680億円)の赤字と、3四半期連続で赤字決算だった。住宅ローン絡みの証券化商品を大量に抱えていることが表面化して以来、株式市場では売り圧力にさらされていた。
15日には格付けを下げられ、担保の積み増しなどで145億ドル(約1兆5370億円)の資金調達が必要になった。16日のAIGの株価は一時、存続企業として危険な水準の1ドルまで下落した。公的支援を含め100億ドル以上の調達が不可能になれば、資金繰りに窮して連邦破産法11章の適用申請を迫られる可能性があるとも伝えられた(2008年9月17日 読売新聞)
米AIGへの融資決定、FRBの一貫性に疑問符も
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-33801120080917
[ワシントン 16日 ロイター]
米リーマン・ブラザーズ・ホールディングス(LEH.N)の支援要請には応じなかった米連邦準備理事会(FRB)が、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N)に850億ドルの融資を行うと表明したことで、FRBの姿勢の一貫性に疑問を呈する声も出ている。
また融資を求める企業がこれから多数出てくる可能性が高まった、との指摘も聞かれる。
経営難に陥った企業を破たんさせるのか、規模が大きく影響が甚大との理由で救うのか。
その判断基準をめぐって、議論を呼びそうだ。
FRBがこの春ごろから実施した金融セクターに対する支援額は、ベアー・スターンズ救済関連で290億ドル、米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)にそれぞれ1000億ドル、米連邦住宅局(FHA)に最大3000億ドル、そして今回のAIGへの850億ドル。その他の救済策や融資を含めると、納税者の負担総額は9000億ドルを上回るとみられる。
ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスのノウリエル・ロウビニ教授は「FRBはリーマンには断固とした対応をとるふりをしながら、2日後には別の企業を救済している。損失を社会全体で負担するシステムが続いている」と指摘。自動車メーカーや航空会社など、経営難の企業が今後支援を求めてくることは確実と述べた。
AIGが破たんすれば世界中の多数の企業に損害が及ぶほか、62兆ドルのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場が混乱に陥る恐れがあるため、政府が「ノー」と言うのは確かに難しかった。
市場ではAIG救済を求める声が強く、16日の米国株式市場では、政府による救済のうわさを材料に、AIGの株価は乱高下した。
ただロウビニ教授は、政府が企業に簡単に融資すればリスクの高い行動を助長すると指摘。その代わりに政府は、住宅ローンを買い取って融資条件を改定し、債務者が返済できるようにするべきと述べた。
<株売り・債券買いの流れ加速も>
FRBは確かに、今回のAIGへの融資に際して、さまざまな厳しい条件をつけている。ローンの金利は高水準で、政府は配当に拒否権を発動でき、またAIGは向こう2年以内に資産を売却して、ローンを返済することが求められている。経営陣の入れ替えも発表された。
ただ株式がほぼ無価値になる一方、債券は保護されるという点で、ベアー・スターンズやファニー、フレディ救済とパターンは同じだ。
エコノミストは、投資家が将来の救済を見込んで、経営が困難になった企業の株を売り、債券を購入するという動きに出る、と警告する。そうなれば、株価はさらに下落し、状況はますます厳しくなる。
JPモルガン(ニューヨーク)のエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は「株式は無価値になり、債券保有者は保護される、というメッセージならば、これは一種のモラルハザードだ」との見方を示した。
<FRBに説明責任>
FRB当局者は、AIGの金融市場への関与の大きさにより、行動の必要があった、と強調している。AIGは、保険・リスク・資産運用事業を通じて、世界中の数千の企業と取引をしており、仮に経営破たんとなれば、世界的な影響は甚大なものになる、とみられている。
RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ハンク・カレンティ氏は、AIG破たんの際の影響は1800億ドル以上、つまり、金融機関がクレジット危機発生以来に調達した資本の半分、と試算する。
ただJPモルガンのフェロリ氏は、破たんさせるという選択肢もあったと主張。FRBは企業を救う理由を明確に説明する必要があり、そうでなければ救済を要請する企業が多数出てくる、と述べた。
バーナンキFRB議長はこれまでのところ、リーマンやAIGの問題では前面に出てきていないが、来週には公聴会で証言する予定だ。
フェロリ氏は「何がシステミックリスクなのか、議長ははっきりと説明する必要がある」と指摘。「FRBは現在の危機において多数の異例の措置をとってきたが、これ(AIG救済)が最も議論を呼ぶものになろう。議長の証言は、非常に興味深いイベントだ」と述べた。
(Emily Kaiser記者;翻訳 吉川彩)