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火をつけた おれ
火をつけたとも
からすは 横着もので
みみずく 無精もので
日ぐれの山みち
せなかいっぱい 火をつけてきた
火うち石 とてもかたくて
おれ なみだでた
あいつ たまげていった
ゆうやけだべか おれのせなか
ばかいえ ゆうやけ
おめの目のなかだべよ
あいつ なんにも知らず
とてもでっかなゆうやけ
せなかいっぱい
しょっていった
おれ ころげて家へかえり
両方の目だまへ お灯明
あげたともさ

唐がらしぬった おれ
ほおずきよりも大きな
唐がらしつぶしては
せなかいっぱいぬったとも
唐がらしばかみたいにあかくて
泣き泣き おれ
ぬったともさ
あいつ たまげていった
ゆうやけだべか おれのせなか
ばかいえ ゆうやけ
おめのまたぐらだべよ
あいつ なんにも知らず
またぐらかかえて
ころげては 泣いた
かずのこが 食いたい
てんぷらが 食いたい
おれ ころげて家へかえり
てんぷら あわててかくした
おれ 木の舟にのった
あいつ どろの舟にのった
ゆでだこのような夕日と
あいつ いっしょに
海にかくれた
おれ ばかをいっぴき
ゆうやけの海へしずめてきた
なぎさで おれ
なみだながしたともさ
ああ ああ
あいつ なんにも知らね
なんにも知らね
ゆうやけぐるみ
海へしずんだ
- 石原吉郎『ゆうやけぐるみのうた』より。
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- 貧しき者よ、あなたのその細き腕でヤハウェ(神)に触れることはできない。

嘆く者、飢えし者よ、あなたのその涙でヤハウェ(神)に梯(かけはし)をかけることはできない。

しかしあなたたち兄弟姉妹よ、ヤハウェ(神)はどこまでもあなたに対してヤハウェ(あってある者 = 神)であられる。

ヤハウェはいまや、天のみならず、この塵(ちり)の上にも、その権威を確かにおろされた。
クリストという御名をもって、ヨシュアという一人の貧しい大工の姿を借りて。

貧しき者よ、よろこんで待て。
病める者よ、泣くな、つつしんで待て。
わたしよ、大胆に絶望をかかえこんで待て。
- いえす『絶望のむこうに』
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- 黒い手がでる 足がでる
もし黒い手がすっと引っ込めば
代わりに黒い頭がにょっとでる

黒い頭の表には黒い顔があり
血走った眼球だけが
見えない足枷を見つめ
涙をこぼしている

彼が黒いその手でつかんだものは
自分の黒い足首だった
"痛いよう""痛いよう"

黒い男は泣き叫び続けたが
いったいどれだけの白いペンキを使ったら
彼は"白い男"になれるというのだろう

見えない足枷、見えない激痛
それは結局のところ
見えない暴力に踏みにじられた
彼の魂そのものだった
その事実を
遠巻きに見ていたどれだけの白い男たちが
気づいたであろうか?
- いえす『黒の叫び』