野生のイノシシも風呂に入りたい。イノシシの風呂場を「ヌタ場」という。体についたダニやシラミを泥と一緒に洗い落とす。泥遊びをしているイノシシは実際に見ることはできない。
警戒心が強く、人が近づくとすぐに逃げるので、実際に水浴しているところは見ることができない。しかし、海を泳ぎ渡るイノシシは見ることができる。猟師に追われて、命からがら海を渡って逃げる時がある。
土佐山の運動広場で間伐作業をしている時に、写真のヌタ場を発見した。かなり大きなヌタ場で、しかも新しかった。おそらく大胆にバシャバシャと泥を体中にまぶして、遊んだことだろう。
イノシシは豚の仲間だから、習性は似ていると思うが、きれい好きであることは間違いなさそうだ。毎日泥遊びをすることはないと思うが、遊び始めると盛んにのたうっていることだろう。
イノシシと言えば、私の友達が実際に襲われたことがある。手負いとなると危険だといわれるが、材木を車に積み込んでいた時にイノシシが走り出たという。持っていた鳶口で叩いたがビクともせず、突進をしてきた。
足場が悪かったために、体をひねった瞬間に足を取られて、イノシシの下に滑り込んでしまった。イノシシの鼻息が顔に当たったというから大変な近さだ。
しかし、これが幸いした。イノシシもびっくりしたであろう、まさかわが身の下に人間様が滑り込んできたことに・・・。すぐに、きびすを返して山に逃げていったという。
話はそれでお仕舞ではない。自分のはいていたズボンがパックリと口を開けているではないか。滑り込む前に、イノシシの牙でやられたのである。まるでカミソリで切ったようであった。これには本人後から震えがきた。
もし、あの時イノシシに正面から体当たりをされていたら、おそらくそこは修羅場となっていたであろう。それほど手負いのイノシシは怖い。ヌタ場の写真をとりながら昔の友達の体験を思わずにはいられなかった。
