神芝居「羽衣伝説」公開記念、豊受を巡る一人旅(第8回)最終回



初のアニメーション作品「羽衣伝説」の制作も大詰めを迎えた頃、私は物語の天女の辿った足跡を巡りたいと思うようになりました。

 

そして2日間に渡り京丹後周辺の豊受関連の神社を回って来ました。

 

前回ブログで最終目的地の奈具神社、奈具遺跡にも行ったことを書きましたので、それで終わりにしてもよかったのですが、京丹後にもうひとつきになる神社がありまして、時間にも余裕があったので行ってみることにしました。

 

その神社は浦島神社といい、又の名を宇良(うら)神社といいます。

 

今回の旅で地図を見ていて単に名前に惹かれただけなので、豊受とは関係がないであろう神社です。

 

浦島といえば浦島太郎。

 

昔話の浦島太郎をお祭りしている神社のようです。

 

丹後半島の雄大な海岸を眺めながら車を走らせます。まるで北海道にでも来たようなきぶんです。

 

 

途中波が激しく押し寄せるスポットがありましたので車を停めて写真を撮りました。

 

浦嶋神社に着いたのは17時を少し回っていました。

お守りなどを授与するところで、女性の話し声が聴こえていました。

どうやらお話に夢中で、閉店(?)の時間を過ぎてしまっていたようです。

そのおかげで、お守りなどを頂くことができました。

可愛かったのでついつい買ってしまいました。

 

 

由緒書きを読むとやはり浦島太郎を祭っているようです。

浦島神社(宇良神社)

祭神:浦島子(浦島太郎)

伊根町字本庄浜191

 

ここに来る前から、又の名が宇良神社なので、「宇良」=「裏」=「月読」と推測していました。

 

月読は天照大御神、須佐之男命の三兄弟で三貴神といわれる偉大な神様です。でも、古事記には名前が出てくるだけで他の2神のように活躍はしません。

 

「本物は表に出てこない」と羽衣伝説の脚本・監督の山口先生から常々きいていましたので、そういう推測になったのでしょう。

 

由緒書きにも浦島太郎は月読の子孫というよいなことが書かれていました。

そして浦島太郎の裏では月読を祭っています。相殿神として月讀の名前が書かれています。

 

予想が的中してちょっと嬉しいきぶんでした。

 

これにて帰路につくわけですが、夕方から雨が降り出して、途中の山越えは激しい雨と霧で前が見えなくて怖かったです。

鬼も出るし!

 

なんとか深夜0時に自宅に到着しました。

 

旅の内容はこんなところですが、ここから本題に入ります。

 

神芝居「羽衣伝説」の主人公は天女娘(あまつおとめ)ですが、ラストシーンでは豊受大御神として描いております。

 

月夜に稲穂の中に立つ豊受です。

 

豊受で画像検索するとだいたい手に稲穂を持っているのが出てきます。
これは稲作の神、保食神(うけもちのかみ)という側面を表しているのでしょう。

 

月夜なのは、豊受=月読という説を目にしていたのでこういうイラストにしました。

 

羽衣伝説制作開始前に日本神話の會のバス旅行で行った(今回の旅の初日にも再訪)元伊勢籠神社の奥の院、眞名井神社の看板にもこう書かれています。

 

幽契(ゆうけい)化現の地
ここ眞名井原は、天上において日神(天照大神)と月神(豊受大神)が秘かに結ばれた契りを、尊くもこの地上において化現された霊跡である。以下略

もし豊受が月読と同一神であるなら、興味本位で行った浦島神社も豊受つながりということになりますね。

 

豊受とは、保食神であり、天酒大明神であり、月神であり、蚕飼や機織りも伝えたとなるとすごい神様ですね。大御神といわれるだけのことはあります。

 

しかし先ほどの眞名井神社の看板の横にはもう一枚看板がありまして、そちらには

 

御祭神 豊受大神

相殿神 罔象女命

    彦火火出見命

    天之御中主神

    高御産巣日神

    神産巣日神

    宇摩志阿斯訶備比古遅神

    天之常立神

 

磐座主座 豊受大神〔亦名 天之御中主神 国之常立神〕

磐座西座 天照大神

     伊射奈岐大神

     伊射奈美大神

 

と書かれていました。
虎之助のにわか知識にでは、相殿神として祭られている罔象女(みずはのめ)命は豊受の母神です。

彦火火出見命(ひこほほでみのみこと)は別名山幸(やまさち)で天照大神のひ孫で、初代天皇の祖父にあたります。

豊受の父か夫の神の名前が書かれているならわかるのですが、なぜここに山幸が入っているのかは疑問です。


つづいて名前があがっている天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)は天に最初に現れた神で、つぎに現れた高御産巣日神(たかみむすひのかみ)・神産巣日神(かむむすひのかみ)とあわせて造化三神(ぞうかさんしん)といわれるとても偉い神様たちです。


宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこじのかみ)天之常立神(あめのとこたちのかみ)の二柱を加えて別天津神(ことあまつかみ)といわれるようです。

 

つぎに磐座と書いてあるのは、本殿の後ろに古代から崇拝されていた岩(撮影禁止)があるからですが、主座が豊受大神で亦名を天之御中主神・国之常立神と書かれています。天之御中主神は先ほども記した通り、天に最初に現れた神様です。国之常立神は別天津神の次の神代七代(かみよななよ)といわれる時代の初代です。

 

別天津神の初代と神代七代の初代が豊受であれば、天地の始まり(天地開闢)の神といってもよさそうですね。

 

神芝居劇団028では次回作として古事記の「天地開闢」を制作する予定です。

ご期待ください。

 

京丹後ひとり旅ブログはこれで終わりです。

ご覧頂いた皆様ありがとうございました。

 

 

 

神芝居「羽衣伝説」公開記念、豊受を巡る一人旅(第7回)

 

物語りの終盤、天女は最終的にたどり着いた村で

「ここで私のこころは奈具しく(平穏)になりました」

と言います。

 

 

この村でどんなことがあったのかは一切記されていませんので分かりませんが、天女はここを安住の地として暮らしたようです。

天女の言葉から村の名前は奈具村となり、奈具神社という神社もあります。

 

今回の旅の最終目的地です。

 

前回ブログの名木神社から6キロほど、車で10分の距離です。

思っていたより近い!

 

 

出発点の比治の里(久次)からでも14キロしかありません。

徒歩でも3時間です。

もっと広範囲をさまよっていたのかと勝手に想像していました。

 

比治の里という小さな集落に10年以上閉じこもっていたわけではなく、

現在の京丹後市一帯を活動拠点としていたと考えた方がしっくりきます。

 

 

奈具神社

主祭神:豊宇賀能賣命

京丹後市弥栄町船木奈具273

 

奈具神社に到着!

ここで虎之助のこころも奈具しくになりましたということで、嘘くさい作り笑顔で写真を撮りました。

 

 

現在の奈具神社は再建されたもので、場所も変わっています。

もともとあった神社は室町時代の大洪水で村ごと流失したようです。

 

奈具神社の近くに奈具遺跡があるときいていたので、Googleマップで検索してみるとほんとにすぐ近くでした。

 

 

てか、長方形のものがたくさん並んでるけどこれは何?

 

案内板のところで脇道に入って、坂を登ります。

登ったところに遺跡の看板がありました。

 

どうやらすでに遺跡の中心地にいるようです。

 

ここで謎の長方形の正体が分かりました。

 

 

 

ビニールハウス!
しかも全部破れて中は草ぼうぼう。

少し歩いてまわりましたが、遺跡や古墳らしいものは何も見つけられずガッカリでした。

 

 

遺跡の発掘調査は1971年頃だったようで、50年以上経っているので、そのあとにできたビニールハウスがボロボロになっていてもおかしくはないですね。

 

 

まぁ、このビニールハウスのところだけでなくこの辺一帯が遺跡のようで、近くの高校も遺跡の上に建っているそうです。

 

詳しく知りませんが、弥生時代中期(約二千年前)の遺跡で、製鉄関連で最大級、勾玉なんかをつくっていたようです。

 

風土記に記されている伝説と遺跡の発見。

これには重要な関連がありそうに思います。

 

 

これで一応豊受関連で行きたいところは全部まわれました。まだ時間に余裕があるので、もう一カ所きになる神社があるので行くことにしました。

 

次回は浦島神社です。

 

 

 

 

 

神芝居「羽衣伝説」公開記念、豊受を巡る一人旅(第6回)

午前中に比治の里関係のスポットを回り、午後からは天女がさまよった足跡を辿ります。

 

 

比治の里を出た天女娘は、立ち寄った村で槻の木にもたれて泣いていたため、そこが哭木村(なききむら)と呼ばれるようになったと風土記に記されています。

 

現在の京丹後市峰山町内記(ないき)という場所がそれにあたるようです。

 

比治の里の久次から約8キロ、車で15分ほどなのでそんなに離れていませんね。

 

 

この地図はだいぶ距離感がおかしいです。

 

内記の名木神社に到着しました。
ここには由緒書きがありませんでしたので、滞在時間短めです。
槻の木にもたれて泣いている自分の写真を撮ろうと思っていたのですが忘れてました。

山登りのあとで疲れていたのかもしれません。

 

●名木神社

主祭神:豊宇賀能命(とようかのひめ)

京丹後市峰山町内記字宮奥134

 

つづいて天女が最後にたどりついた村へ向かいます。

 

車で走っていると途中に、なんか立派そうな神社が見えたのでひきかえします。

 

●多久(たく)神社

主祭神:豊宇賀能咩命(とようかのめのみこと)

京丹後市峰山町丹波2

 

 

こちらも豊受を祭っています。

 

由緒書できになるところは

・天女は豊受大神の化身

・天女よく酒を噛み造り

・天酒大明神(あまさかだいみょうじん)

 

とくに「天女よく酒を噛み造り」ですが、神芝居の酒造りのシーンもお米を噛んで吐き出す画にしています。

 

そうしたのは、とある神社の神主さんから「昔は巫女さんがお米を噛んで酒を造っていた」という話を聞いていたからですが、監督にラフを見せて説明すると「口噛み酒はアニメ“君の名は”で有名」とのことでした。すでにアニメで使われていることを知りちょっと残念でした。

 

また「天酒大明神」の文字ですが、先に行った名木神社も江戸時代にはそう呼ばれていたようです。

天女と酒造りの重要な関係性をうかがえますね。

 

 

本殿のところにあった奉納額。

うしろの壺はお酒でしょうね。

 

つづく