プロローグ:魔剣の宿命



冷たい風が吹き抜ける山の奥、小さな木造の小屋に一人の青年が住んでいた。彼の名はレン。数年前、ある事件をきっかけに「魔剣」と呼ばれる忌まわしき武器を手にして以来、彼の周囲から人が去っていった。


魔剣は持つ者の心を侵すと言われ、村人たちは恐れ、レンに近づこうとはしなかった。だが、レンは心を失ってはいなかった。ただ、その剣を手にしたというだけで、彼は「悪」と決めつけられたのだ。


そんなある日、一人の若い女性が小屋を訪ねてきた。風に吹かれてボロボロになった旅衣をまとい、険しい目をしていた。


「話を聞かせてくれないか」

警戒しながらも、レンは彼女を小屋に招き入れた。


だが次の瞬間、女は短剣を抜いて襲いかかってきた。


「……っ!」


レンは軽く身をかわし、手刀一閃。女は驚く間もなく床に倒れ、気絶した。


数分後、目を覚ました彼女にレンは静かに問いかけた。


「なぜ俺を襲った?」


女はしばらく黙っていたが、やがて震える声で言った。


「……魔剣を、あなたの持つその剣を……奪って、村を救いたかった。私の村は盗賊に支配されていて、誰も戦える者がいないの……っ!」


その言葉に、レンはしばし沈黙した後、ゆっくりと立ち上がった。


「案内してくれ。その村へ。」