先日、以前住んでいた千葉市に所用で行ってきた。およそ一年ぶりの関東平野横断である。

 

 駅に降り立って、驚いた。

「俺の知ってる千葉駅じゃない」

 おそらく永久に終わらないのでは、とすら囁かれていたあの大規模工事はどうなった。なんだこのお洒落な駅ビルは。三階に移動した改札は、かつて通勤客がぶつかりそうになっていた混雑ぶりからは想像もつかないほど広い。

 

 街自体はあまり変わっていなかった。当然だが。

 

 歩いているうちに懐かしさがこみ上げてくるかな、と思ったが、それはなかった。都内のごくありふれた駅前のように淡々と歩いた。結局僕は、この街で単なる来訪者に過ぎなかったのかもしれない。

 

 

 住んだ時間の長さではなく充実度で、その場所に対する愛着は左右されるのだろう。そんな当たり前のことを思った。

 生きていくのが辛かった街への再訪は、わずか数時間で終わった。