最近つくづく思うのですが、電子書籍を買うときの選択って、電子書店側が主導権を握るケースが多いですよね。曰く、期間限定無料、いまだけセール対象、読み放題対応……。
いやいや、それに乗っかって電子書籍を販売しているおまえが言うな、と言われれば、返す言葉がないのですが。
電子書籍の普及、つまりは市場の拡大のためにはこうしたプロモーションが必須で、実際自分でもそれをしているのは事実なのですが、ここでは純粋に電子書籍を選ぶ側の読者視点での話だと思ってください。
ふらりと立ち寄って表紙という視覚情報を得、さらにパラパラと立ち読みをして文章の印象をチェックできるリアル書店と違って、電子書店の場合は判断基準がどうしても受け身になりがちです。「おすすめ作品」やランキングの順位が選ぶ基準になってしまうのは、仕方のないことかもしれません。
それはいいのですが、売るほうから枠を用意されて「この中からどうぞ」と言われているように感じてしまうと、正直なところ、ううむと思ったりもします。
本が、いやコンテンツ全体が、作品世界や作家性で選ばれるものから、売り手が設定したセールもしくは特定の販売方法に合うもの、という基準で選ばれるようになっていくのでしょうか。
そうした「対象コンテンツ」は往々にしてお得感があり、それは買い手にとっては嬉しいことですから否定されるべきではないのでしょうが、これが「中身よりも値段の安さで」という風潮につながるようだと、ちょっと違うのかな、と。
コンテンツの価値が下がってしまうと、情熱を注いで本気で作品を作るモチベーションが作者から失われてしまうことになりかねず、それがいちばん怖いと思っています。いや、もう既にそうなりつつあるのかもしれませんが。
今後はどうなるのでしょう。
信頼のおける情報を提供する電子書籍キュレーションメディアが成熟するか、もしくは自分と親和性の高いSNSの繋がりでの口コミを有益な情報源とするか、そのいずれかもしくは両方が、電子書籍選択の新たな波となるのかもしれません。