せっかく緑がたくさんあって大地の恵みが豊かな土地に行くのだから、小さな畑を所有して、そこで野菜を作って暮らしたいなぁ……。などと、引っ越しするときには考えていたのである。
ところが、そう甘くはなかった。調べてみたところ農地法というものがあって、農地は基本的に農業従事者でないと取得できないのだそうだ。
うん、理屈はわかる。もし勝手に売買できるのだったら、土地を安く買って高く売る転売目的の人に狙われてしまうだろうからね。日本の農業を守ろうという意図なのだろう。でも農家の人から個人が借りるのにも農地法の許可が要るのもなぁ……。
試しに、転居前に市役所に問い合わせてみたところ、市民農園を勧められた。市内にいくつかあるので、まずはそこを利用してみてはどうかと。
楽しそうだけど、やっぱり少し違うような気がする。自分の畑、という実感があまり湧かないのではないか。
所有も賃貸も難しいのであれば、既存の農家さんを手伝うというのはどうだろう。まずは畑にお邪魔して農作業を手伝いながら、基本を学んでみてもいいかもしれない。
そう思って、今度は転居後に市役所の担当部署に行ってみた。農作業の手伝いをしたいんですけどと訊くと、それも難しい、という。
たしかに農繁期には猫の手も借りたいほど忙しいらしいが、農家さんたちは内々のネットワークで人手を調達するため、たとえば求人という形で役場に情報があがってくることはないのだそうな。そうかハローワークに行ってもダメか。
というわけで、新天地で土に親しむ計画は、一時棚上げとなっている。窓から見える風景はとても豊かで、歩けばそこかしこに畑が広がっているのに、こんなにも遠く手が届かないとは。ううむ残念だ。
仕方ない。まずはいまやっている台所のペットボトル栽培をベランダ菜園へと発展させて、少しずつ自家生産を充実させていこう。そのうちに思わぬ機会が舞い込んでくることを期待しつつ。
参考ページ
http://www.apatransport.com/01/