厳寒の時期に書き始めた作品の推敲が、間もなく終わる。

 長編をひとつ書き終わるたびに季節がひとつ移り変わる。そうやって一年が過ぎていくライフスタイルが、すっかり板についてしまった。

 この作品で言うと、プロットを持参した日はみぞれ混じりの凍える雨で、寒さと緊張でガチガチに震えていた。編集さんから「これ、面白そうだね」と言われたことがとても嬉しくて、帰り道に都心の水たまりを踏みながら歩いたことを覚えている。

 部屋の中で白い息を吐きつつ、本当に暖かくなる日が来るのかと思いながら背中を丸めてパソコンに向かっていた日は、ちゃんと終わった。初稿を脱稿した日に開け放った窓からは、春の日差しが降り注いでいた。


  四季のある国に生まれた作家で良かった。作品の進行と執筆の日々が季節の深まりとともにリンクして、自分が書いて生きていく人間であることを実感させてくれる。変わりゆく季節は作品に香りや彩りを添えてくれる。


 五月になれば、すぐに新作に取り掛かる。次の終わりは、真夏だ。