重松清先生の『永遠を旅する者 ロストオデッセイ 千年の夢』(講談社)を読んでいる。
珍しい経緯で書かれた作品ということは聞いていた。RPGゲームの内容の一部として書かれたものだと。
ゲームの主人公は、なぜか不死の命を与えられた男で、千年もの時を死ねないまま旅する。その長過ぎる人生の中で出会った人々との記憶が、「夢」という形で文章で再現される。その短い小説を集めた掌編集だと。
ゲームには疎い。なにせあの「怪盗ロワイヤル」も投げ出してしまったほどである。だって、他人から盗むなんて、そんな、あなた。
なのでRPGについてもあまり知らないが、キャラクターが敵を倒したり他のキャラと交流して経験値を増やしていくんだろうな、くらいは分かる。この『ロストオデッセイ』というゲームも、売りは戦闘シーンの迫力であり、強大な敵を倒すことなのだろう。
しかしそれだけでは主人公のキャラに深みが足りないと、開発者は思ったのではないか。優秀な兵士であり、死ねないが故の悲しみを抱いた心情を表現するのに、短い小説の形式がふさわしいとなったのだろう。
You Tubeの動画で、その「夢」の部分を見てみた。
いわゆるサウンド・ノベルという手法で、BGMや抽象的なビジュアルをバックに、画面に淡々と文字が配されていく。
読み手のスピードに合わせるかのようにゆっくりと、一行ずつ、印象的なシーンの前では、ときに「間」を置きながら。
なるほど、これがあるのとないのとでは、主人公に対するプレイヤーの思い入れ、感情移入は違ってくるだろう。
言っちゃ悪いが、ゲーム中のキャラクターのビジュアルは、どうみても作り物である。
しかしこうして文字だけを読んでいると、彼の心情がいきいきと感じ取られ、キャラに血肉が通い始める気になるはずだ。
「夢」を共有する前と後では、プレイヤーのゲームに対する印象はがらりと変わるに違いない。
もちろん小説は小説として、ゲームを知らずに紙で読んでも十分に面白い。それは当然、なんたってあの重松先生である。無限の命を与えられた者の視点で、限りある命を懸命に生きる者たちの儚さ、脆さ、それゆえの強さ美しさが、慈しむように書かれている。
ゲーム中のサウンドノベルかぁ。うーん、小説にはいろんな可能性があるんだな。
ところでキャラクターデザインは、『スラムダンク』の漫画家、井上雅彦さんである。
実は未だにこの漫画、未読なのである。……と書くと、「え!」と驚く人がきっと多いのだろう。ダメですか。国民的漫画は『ワンピース』読んでますけど、それじゃ足りませんか。
やばいかなぁ、一度は読んどいたほうがいいのかなぁ。
【#twnovel 】
なんか、都会で暮らす自信がなくなってきた。
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目が回る。買い物客であふれる休日のショッピングセンター。人に酔うという久しぶりの感覚に苦笑する。はしゃぐ子供たちを連れた親は夕方には疲れ果て、不機嫌になって叱りつけている。それでいいのだ。それが日本中どこにでもある、平和な風景。僕がなくした、ささやかな幸せの姿。