第184話 最高神との決戦! 虚空を貫く雷の嵐 | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。

 ユピテルモンが両手の黄金のハンマーを軽く振る。ハンマーと同じ黄金の雷雲が、五つこぼれ出た。
 即座に五本の雷が俺達に飛んできた。
 が、一瞬辺りが暗転し、すぐに元の景色に戻る。雷は俺達の背後に抜けていて、壁を派手に破壊した。
 ライヒモンの《シュバルツ・レールザッツ》が時空をねじ曲げたんだ。
 次に放たれた雷撃は、ジェットシルフィーモンの突風が弾く。
 俺はその隙間を抜けて、ユピテルモンに迫る。右手に握る神剣が炎をまとう。
「でやあっ!」
 振り上げた切っ先はハンマーで受け止められた。炎と雷がお互いを食いあい、輝きを増す。
「《アイスプラント》!」
 フロストモンの撃ったロープがユピテルモンの左腕に絡みついた。フロストモンの強靭な腕がロープの端を引き、ユピテルモンの動きを封じる。
 俺は剣を斜めに滑らせ、ユピテルモンの腕に切りつけた。
 俺の腕に鈍い衝撃。俺の剣はユピテルモンの鎧に当たる直前で止まっていた。全身を覆う金色の鎧が、電気の層を生み出してバリアになっている。
 ユピテルモンが息をつき、左腕を勢いよく引いた。ロープに引きずられ、フロストモンの巨体が宙に浮いた。
「なっ……!」
 反応する間もなく、飛んできたフロストモンの体に吹き飛ばされた。耳元でノゾムが悲鳴を上げる。
 壁に叩きつけられ、崩れる壁ごと落下する。どうにかバルコニーをつかみ、俺は体を持ち上げた。
 フロストモンを片手でぶん投げるなんて。あいつの鎧の中、どんだけ筋肉詰まってるんだよ。
 フロストモンが、俺と同じようにバルコニーに這い上がってきた。申し訳なさそうにうつむく。
「ごめん、スーリヤモン」
「フロストモンのせいじゃないよ」
 ノゾムの言葉に俺も頷く。
「まだこれからだ。戻るぞ」
 背中の翼で飛び、戦いの場を目指す。
 瞑想の間は跡形もなく崩れていた。
 虚空を漂う残骸を足場に、戦いは続いている。
 雷雲は五つともライヒモンとジェットシルフィーモンを追い回していた。二人は自分の技と瓦礫を盾にして上手くいなしている。雷雲対策は作戦通りか。
 ユピテルモンは兄貴とベオウルフモンと打ちあっていた。二人は、鎧部分に攻撃が通らないのを察して、顔のわずかな隙間と背中のマント状の羽を狙っている。
 が、ユピテルモンも自分の弱点を重点的にかばい、攻撃を通さない。
「スーリヤモン! フロストモン!」
 声に振り向くと、ライノカブテリモンが俺達を見ていた。
「ユピテルモンは鎧を磁場で覆って攻撃を防いでいる」
「みたいだな。さっきも俺の攻撃が止められた」
「俺が《コンデンサストーム》であいつの磁場を乱す。そこを狙うんだ」
「分かった!」
 答えてすぐに、フロストモンが上空へと跳んでいく。足場のない場所は氷を吹きだして器用に渡っていく。
 俺も羽ばたいて一気に上昇する。
 ユピテルモンがアルダモンとベオウルフモンを振り払った。
「《コンデンサストーム》!」
 下から稲妻の嵐が吹きあげ、一瞬でユピテルモンを巻き込んだ。
 ライノカブテリモンの大声が聞こえる。
「俺だって雷の闘士だ! 電気の扱いなら負けない!」
 その言葉通り、ユピテルモンの鎧の輝きが鈍っている。
 磁場が乱れてる今がチャンス!
「《ガーンディーヴァ》!」
「くらえっ!」
 俺の炎の衝撃波とフロストモンの投げた斧が稲妻の嵐に飛び込み、ユピテルモンを捉えた。
 
 そして、蒸発して消えた。
 自分の目が信じられなくて、思考が止まる。
「来るぞ! 避けろ!」
 兄貴の言葉にはっとしてきびすを返し、稲妻の嵐から全力で離れる。
「《ワイドプラズメント》」
 背中越しに見ると、嵐の内部から金色の光がほとばしり、ライノカブテリモンの稲妻を飲みこんだ。
 光はプラズマの塊になって、俺達に高速で迫ってきた。空気が切り裂かれ、耳障りな音がバチバチと戦場に響き渡る。
 フロストモンが逃げ遅れた。氷の道を作って必死に走っているけど、プラズマの熱で氷が溶け、思ったように進めない。
 《ワイドプラズメント》が背後に迫り、フロストモンの足場が崩れた。
 フロストモンが飲みこまれる寸前、ベオウルフモンがフロストモンに飛びついた。
 直撃は避けた。だが、プラズマはフロストモンの背中とベオウルフモンの右腕をえぐった。
「ぐああっっっ!」
「あああっっっ!」
 二人の悲鳴だけで、重傷だと分かった。二人の体がデジコードに包まれ、人間の姿に戻る。そのまま、近くの荒れ地の欠片に落ちる。
「友樹! 輝二!」
 兄貴が必死に名前を呼んでも、二人は倒れたまま動かない。体にデジコードが浮かびあがる。
 友樹の背中と輝二の右腕は、遠くから見ても赤い。その色が、暗い世界の中で強烈に見えた。
 頭がカッと熱くなった。
 俺はプラズマの塊をキッとにらみつけた。
「やってくれたなっ……!」
 敵は人の形をとり、ユピテルモンに戻った。
 俺は剣を握りしめ、ユピテルモンに切りかかった。ノゾムが俺の名前を呼んでいるけど、今はそれどころじゃない。
 何度磁場に弾かれても、神剣の火力を上げて打ち込む。
 バリアなんか知るか。一撃でもいい。傷つけ。ダメージを受けろ。友樹と輝二の痛みを、少しでも思い知れ。
 怒りの感情を剣に込めて、ユピテルモンの脳天に振り下ろした。
 
 
 
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更新遅れててすみません。リアルがバタバタしてて、ブログに割く時間が減ってる状況です(汗)
小説はほぼ書きあがっていたのでアプモン感想より先にUPしました。感想の方は、多分明日には書けると思います(色々語りたいシーンありますし)