〔39〕完全覚醒! マグナモン | 星流の二番目のたな

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デジモンフロンティアおよびデジモンアドベンチャー02の二次創作(小説)中心に稼働します。たまに検証や物理的な制作もします。
続き物、二次創作の苦手な方はご注意くださいませ。

 ライドラモンの背に乗って、戦いの場へと走る。

 その途中で、再び地面が揺れた。ライドラモンが足を滑らせたが、なんとか立て直して走り続ける。

「大丈夫か!?」

「ああ。近い!」

 大輔の言葉に答えると同時に、視界が開けた。


 辺りは倒木と地割れに埋め尽くされていて、足の踏み場もないありさまだった。

 地上ではアグニモンが身構え、辺りを警戒している。上空ではネフェルティモンが旋回している。その背でヒカリに抱え込まれているのは、泉だ。戦いでダメージを負ったのか、ヒカリにもたれかかっている。

 大輔達に気づいたアグニモンが、はっと目を見開いた。

「二人とも! 下だ!」

「下?」

 視線を足元に向けた時には、もう遅かった。

 ライドラモン下の地面が弾け飛んだ。大輔もろとも空中に投げ出される。

 無防備な体勢の中で、地下からデジモンが現れたのが見えたが、反撃する暇もなく。

 殴り飛ばされた二人は、硬くでこぼこした地面に叩きつけられた。ライドラモンの進化が解ける。

 地上に降り立った敵は、下品な笑い声を立てた。

「ぎゃはは、どうも手ごたえが違うと思ったらまだ仲間がいたのか! でもその様子じゃ一発KOみたいだな!」

「この野郎っ!」

 アグニモンがこぶしを燃やして殴りかかる。が、敵は素早く地面に潜った。こぶしが残った穴に叩きこまれる。アグニモンがこぶしをどかすと、そこには黒く焦げた土があるだけだった。

「ギガスモンめ。早すぎて攻撃が当たらない!」

「穴に炎を流し込んであぶりだせないか?」

 大輔の大声に、アグニモンが同じく大声で返す。

「やろうとしてる! でもあいつ、届かない深くまで潜ってしまうんだ! 今の俺達の攻撃じゃ、あぶりだすのはムリだ!」

 言っている間にも、アグニモンの足元が震える。飛びのいた直後、薄茶色のこぶしが地上に突きだした。

「《ナイルジュエリー》!」

 ネフェルティモンが空から赤いレーザーを放つが、着弾する前に逃げられる。上空にいれば地面の攻撃からは逃れられる。しかし、逆に地中を狙うこともできない。

 どうすればこの状況を破れる? 大輔は両手を握りしめた。

 それで思い出して、右手を見た。ここに来るまで、奇跡のデジメンタルを握ったままだったのだ。

 前にキメラモンと戦った時。誰もかなわなかった奴と戦える力を、奇跡のデジメンタルはくれた。あれで代用品だったんだ。本物ならもっと――。

「やろう、大輔!」

 ブイモンが半身を起こして声を張った。大輔は力強くうなずいて、奇跡のデジメンタルを掲げた。


「デジメンタル・アップ!」

「ブイモン、アーマー進化!」


 デジメンタルとブイモンの体が金色の光を放つ。その輝きに、全員が目を開けていられなくなった。


「奇跡の輝き、マグナモン!」


 目を開けた時には、まばゆい鎧をまとったデジモンが生まれていた。

 マグナモンが地面を蹴り、一帯を見下ろせる位置まで飛ぶ。

「離れて!」

 マグナモンの言葉に、アグニモンが大輔を抱えて森に駆け込んだ。

 気合と共に、全身に力を込める。鎧が光に包まれた。

「《エクストリーム・ジハード》!」

 光の柱が地面を射た。戦場全てが焼かれ、砕け散る。

「ぐああっ! あ、熱い!」

 光が消えた直後、地中からギガスモンが飛びだした。全身からくすぶる煙を上げ、痛みにのたうっている。

 マグナモンは容赦なく、それに照準を合わせた。

「《プラズマシュート》!」

 鎧の格納部が開き、十発近いミサイルが放たれる。四方八方に広がった軌道は、照準目がけて一点に集合する。

 爆風が、上空にいたヒカリの髪を揺らした。




 全員が地上に集まってみると、ギガスモンは体にデジコードを浮かべて倒れていた。その状態でも、なんとか立ち上がろうともがいている。

 その目がマグナモンに向いた。忌々しそうに顔をゆがめる。

「なるほどお前が、ケルビモン様をやった犯人か……! やけに弱いと思ったら、とんだ隠し玉を持っていやがった」

「ケルビモンをやった?」

「何の話だよ」

 マグナモンと大輔がそろって聞き返す。這いながら距離を取り、ギガスモンが叫ぶ。

「ふざけんな! 俺がデジコード狩りに出ている間に、ケルビモン様と仲間を襲っただろうが! ラーナモンが最期に俺に言ったんだ。犯人は全員を倒した後、ケルビモン様の持っていたスピリットを奪っていったってな!」

「それが……私達だって言うの?」

 泉がヒカリに支えられながら聞く。

「お前らの他に、誰がスピリットを持ってるって言うんだ! 俺は人間がスピリットを持ってるって聞いてここまで追ってきたんだ!」

 大輔達は顔を見合わせた。話がかみ合わない。友樹達や輝二か? とも思ったが、ケルビモンを倒せるほどの力があるのなら、そもそも散り散りにもなっていないはずだ。

 じゃあ、誰がケルビモン陣営を襲ったのか?

「まさか、輝二やボコモン達を襲ったのと同じ犯人か」

 アグニモンが目を見開く。ギガスモンも怪訝けげんそうな表情で口を開いた。

「」

 が、言葉を発する前に背後から斬られた。袈裟がけに。デジコードをも断つ鋭さで。




◇◆◇◆◇◆




ギガスモン瞬殺。マグナモンが強すぎるんだから仕方ない←

「キメラモンを圧倒する力をくれた」と書いてから、圧倒は、してなかったな……と書き直しました(苦笑)いや、あれだったからこそ超強いマグナモン出そうぜって発想になったんですけど。

02の延長なので、プラズマシュートの効果は02準拠。個人的にはプラズマ弾verもミサイルverも好きです。



フェスの申し込みはしようしようと思いながらまだやってません。内容が不明のものにお金を払うのは、いかにデジモン絡みでも勇気がいるので……もう少し様子見の構えです。