↑①話








 

お父さんとお姉ちゃん 嫌いだ。









学校に通えなくなる 1年ほど前から、

時々 息子は、独り言のように

ポツリと呟くようになりました。 






息子がその様にいい始めた時、



遂に言わせてしまった。





と、反省と後悔の念を抱いたのと同時に、

息子の主張に同調している私がいました。















私は、幼少期からずっと両親から




「人に迷惑をかけないように」




「人の気持ちを考えなさい」





と、言われて育ちました。






幼少期、おやつは必ず妹達と

均等に分け合うよう

躾られました。

早い者勝ちや、

抜けがけは許さない。





そんな事したら、

厳しく叱られました。





何事においても

その様に躾られたので、

幼少期を経て思春期になると、

自由に発言して主張して

奔放に振る舞う、

自分と違う人たち出会うたびに、

嫌悪感をもち 馴染めず

生きづらく、

孤独を深めました。


  







部活でレギュラーに選ばれた事を報告した時も、


「選ばれなかった子達の気持ちを考えなさい」


優勝して全国大会に出場が決まった時も、


「負けた子達の気持ちを考えなさい」







それ以外にも成長の過程でその様に

言われ続けて、洗脳され

長女の私は忠実に守って生きてきました。







常に謙虚であれ。 






子供を持ち、親になり、母となった

今なら両親の思いを理解出来るのですが。






両親の教えは 「いい人」  として

生きていくことを私に植え付けました。






そして自分の気持ちや感情を後回しにして

他人の主張や気持ちを優先して生きてきて

いつしか、自分の存在意義さえ

わからなくなっていました。





他人の気持ちを考えないで

自分中心に振る舞う人を捕まえては、

私の正義に照らし合わせ、批判して、

バッサ バッサと切り捨てる。

自分でも驚くほど、冷徹で

冷たい人間に成り果てました。






そんな私が母親になってしまったのです。







主人と長女もまさに 私の正義のアンテナに

引っかかる行動を取る

「自分と違う」人達でした。





主人と長女は、

昼寝をしている愛猫に近づき、

かわいい〜と大声を出しながら、

わっさわっさと頭を撫でて起こすタイプ。





ゆっくり寝かせてあげなさいよ!

何で起こすのよ!

そっとしてあげなさいよ!

せっかく寝てるのに!

(私の心の声)






私と息子は、

起こさない様にゆっくり眠ってほしいから

その場から少し離れて

そっと見守るタイプ。








例えると、こんな感じです。







一事が万事常にそうなので、

日常生活の中でも、私は、

主人と長女のすべての

振る舞いにイライラして

怒りを膨らませていくのですが、

「いい人ぶってる」私は、

それを伝える事が出来なくて、

怒りを飲み込んで、 

更にイライラ 不機嫌オーラ全開で

家族の中に居続けました。




そして、



息子の、




「お父さんとお姉ちゃん 嫌いだ。」は、



いつしか勝手に



「お母さんは、大好き」に変換されて、



息子の成長に 当時異常なほど執着していた

毒親の私に更に火をつけたのです。






暴走し続けました。








今なら 分かるのです。




正確には、





お母さんを怒らす、



お父さんとお姉ちゃんは、嫌いだ。





息子は、

遠回しに私に伝えたかったのではないかと

思うのです。




私の暴走と

主人と長女に向かう私の監視。 





もう、やめて欲しいと。






主人も長女も。




負のエネルギーを醸し出す。

そんな私の存在に、

辟易していたことでしょう。








家庭内はそんな状況下でしたので、






息子は、長女の引っ越しには

絶対行かない。と、言うと

勝手に思っていました。 






一緒に行くと言ってくれて本当に

嬉しかったし、驚きでもありました。






長女の大学進学に伴う引っ越しは、




家族の在り方を見直して、




問題をあぶり出して、




一度 クリアにして、




それぞれの目詰まりを解消する。





間違いなく我が家の転機になりました。





同時にこの頃から私は、



ずっと苦しかった



いい人をやめたくて。




自分の生きづらさに正面から





向き合うようになるのです。





続きます。