「嘘ぢゃないな?」

僕の問い掛けに無言で頷くMATSU。


「そっか。なら良いんだ。」

僕は、そう言うと体を反りMATSUに道を譲った。


MATSUは、猛スピードで走り去って行った。

彼の焦った背中を眺めながら、僕の頭の中には彼達をハメる罠の構想が出来ていた。


きっと面白くなる。
僕は、MATSUを呼び止めた。

「おい!MATSU!」

彼は、何だか気まずそうな顔をした。

きっと朝のマラソンの時に僕がDOKUに付き添っていたからだろう。


しらーとした態度でMATSUが答えた。

「な、なに?縄跳びやりに行きたいんだけど」


彼の言葉が言い終わる前に僕が言う。


「DOKUのフタ。どうした?」

MATSUは、ハッとした顔をしたが、すぐに

「知らないよ。俺ゎ知らない」

と横に首を振った。


しらばっくれる気だ。
給食を食べ終えると、真っ先に校庭に走り出す。

校庭には、4つサッカーゴールがある。
もちろん、これも先着順なのだ。

とにかく小学生の頃は、誰よりも早く行動しなければならなかった気がする。

『食事は、ゆっくり噛んで食べるもの。』

そんな余裕は、なかった。
給食に関してもそうだが、家庭での食事もゲームも、テレビ番組も、風呂も、毎日が奪い合い、取り合い、戦争だった。

男3兄弟。
毎日必ず生傷が絶えなかった。


サッカーボールを持って外に飛び出すと、下駄箱の前でMATSUに遭遇した。


MATSUは、皆で縄跳びをしようとしてたらしく職員室で借りてきたであろう大縄とびを持っていた。