私は手を握ってもらうのが好きだ。
私が幼稚園生だった頃
他の園児達が帰った後
多忙な母が暗くなった幼稚園に迎えに来て、
車に乗るまでの短い道のりを手をつないで歩いた。
私がキュッと一度握ると
母もキュッと一度握り返した。
二度握ると二度返ってくる。
安心できる人と手をつなぐのは
気持ち良かった。
嬉しかった。
小学二年の時
石板に父親の似顔絵を書かされた。
顔が思い出せなかった。
父は朝から晩までトラックに乗っていて
休日もろくに無かった。
毎朝顔を合わせていたが
思い出せなかった。
私は石板に荷物を肩に担いだ人物を書いた。
顔は見えないように書いた。
そんな影の薄い父の手は
当時大きくてガッチリ硬くて力強かった。
学生だった頃、
ある年上の男性の手が心地良かった。
大きくてフワフワ柔らかくて温かくて。
包まれるような感覚は今も覚えている。
もちろん誤解されたが
私にそっちのケは無い。
母は別人のように太り果て、
父は筋骨隆々とはほど遠く痩せ枯れて
二人とも孫の成長が楽しみなお年頃になった。
彼の男性とは疎遠になり
もはや他人でしかない。
私の手を優しく握ってくれる人はもういない。
私の手を温かく包んでくれる人はもういない。
私は手を握ってもらうのが好きだ。
私が幼稚園生だった頃
他の園児達が帰った後
多忙な母が暗くなった幼稚園に迎えに来て、
車に乗るまでの短い道のりを手をつないで歩いた。
私がキュッと一度握ると
母もキュッと一度握り返した。
二度握ると二度返ってくる。
安心できる人と手をつなぐのは
気持ち良かった。
嬉しかった。
小学二年の時
石板に父親の似顔絵を書かされた。
顔が思い出せなかった。
父は朝から晩までトラックに乗っていて
休日もろくに無かった。
毎朝顔を合わせていたが
思い出せなかった。
私は石板に荷物を肩に担いだ人物を書いた。
顔は見えないように書いた。
そんな影の薄い父の手は
当時大きくてガッチリ硬くて力強かった。
学生だった頃、
ある年上の男性の手が心地良かった。
大きくてフワフワ柔らかくて温かくて。
包まれるような感覚は今も覚えている。
もちろん誤解されたが
私にそっちのケは無い。
母は別人のように太り果て、
父は筋骨隆々とはほど遠く痩せ枯れて
二人とも孫の成長が楽しみなお年頃になった。
彼の男性とは疎遠になり
もはや他人でしかない。
私の手を優しく握ってくれる人はもういない。
私の手を温かく包んでくれる人はもういない。
私は手を握ってもらうのが好きだ。