僕が新刊を上梓する際にいつも最低目標に掲げるのが、重版です。
増刷をかけて収入を増やしたいという気持ちももちろん大きいのですが、一度も増刷をかけられなかった本というのは、基本的に赤字なんです。
赤字といっても作家自身は損害をこうむらず、印税を手にします。
損害を受けるのは版元です。
だから大丈夫、なわけがありません。
損害を与え続ける作家はどうなるか?
出版業界の人間でなくとも想像がつくはずです。
シリーズ作の場合には続編が出せなくなるし、続編どころか、その出版社とのご縁自体が途絶えてしまう可能性すらあります。
なので僕は編集さんにたいして、「次も一緒にお仕事をするために売りに行きましょう」と言います。
本当は口にする必要もないぐらい当然のことだと思うけど、編集さんには意外と商売っ気の薄い人も多いのです。
作家性を尊重する姿勢は編集者の理想型のようでいて、実は無責任なだけというパターンが少なくないと思います。
『たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君と』にかんしては、現場のほしいコンテンツを現場の人間を交えて作り上げていこうというコンセプトなので、いつも以上にセールスを重視しています。
重版はとてもありがたいけれど、具体的な部数の目標まではまだ遠いです。
でもまずはここをクリアしないと目標には近づけないので、ほっとしました。
最近は重版の報せを受けると喜ぶというより、安堵するようになりました。
あーとりあえず版元に損害を与える結果にならなくてよかったなーと。
二刷ではまだ微妙なラインだと思うけど、少なくとも大損害にはなっていないなと。
ひとまず最初のハードルは越えたので、これからです。
もっともっとたくさんの人に届いて欲しいと思います。
お買い上げいただいた皆さま、どうもありがとうございました。

