「よくもまあ、あんな浅はかな案を自信を持って遂行できたものね?」
「よくあんな案でみなさんの気が引けると思いましたね…」
休憩時間になるとさっそく高松を同じような言葉で、責める玲奈とゆりの二人。
「自信はあったんですが…意外性があるというか…見かけによらないというか…影で鍛えてるので」
ボソボソと言い返す高松。
「その前に服着てくださいよ」
目のやり場に困るから!と言わんばかりに麻友が言う。
「今回の守備はバッチリね、玲奈?」
ゆりは玲奈の方を振り向き、確認する。
「ぬかりないよ。ゆりちゃんの推進エンジンのおかげね」
決して高松のおかげではないことを強調して伝える玲奈。
「ねえ、ゆきりん、あの二人なんか怖いよ…」
指原の影に隠れて柏木と話す麻友。
「うん……麻友は麻友のままでいてね…」
柏木は麻友の手を優しく握った。
「じゃあ次は莉乃ね。」
ゆりは、指原を直々に指名した。
「ええええええええええー!なんでですかー!日向さんたちがやるんじゃなかったんですかー!?」
指原が大きく驚いて早くも涙目になっている。
「さっしー、向いてるんじゃない?話すことやみんなの気を引くの上手でしょ?」
玲奈もゆりの案に便乗する。
「あらそうなの?ちょうどいいじゃない」
ゆりは玲奈の言葉を聞いて指原に決定してよかったと思う。
「こんな状態で持ちネタなんてないっすよー!」
必死に首を振って嫌がる指原
「指原さんはどんなアクシデントにも対応できるじゃないですか」
珠理奈が指原をフォローする。
続けて
「それに、莉乃は天使の席の後ろでちょうどいいじゃない」
そうでしょ?と言わんばかりに指原に伝えるゆり。
「そっか!じゃあ指原はネタとかやらなくてもいいんですよね!?」
少し安心した顔をする指原。
「ええ。天使に告白してくれたら」
表情も変えずとんでもないことをいうゆり。
「うん!…………えっ?」
「天使に告白するのよ。こんな時に場所も選ばずにごめんなさい。あなたのことがずっと好きでした、付き合ってくださいってね」
ゆりは例文を出して指原に教える。
「えええええええええええ!?!?」
柏木並のオーバーリアクションをして驚く指原。
「言われた通りにすれば飛ばないで済むわよ」
ゆりはにっこりとした顔をする
「ちぇー、コクるだけでいいのかよ。なんかズルいぜ」
日向は舌打ちをして愚痴る
「ちょっと!?そっちは肉体的ダメージで済むかもしれないですけど私は精神的なダメージがすごいんですよ!?」
指原は叫ぶように日向に伝える。
それに続けて
「それに!女なのに女の子に告白するなんておかしいじゃないっすかー!!しかも絶対フラれるのがわかってるじゃないですか!ひぐっ…」
最後は涙声で聞き取れたものじゃなくなっていた。
「ハハッ、別にいいじゃねーか。告白くらい」
日向はそんな指原を笑い捨てる。
「なっ!!指原は日向さんと違って何度も告白してフラれません!いつだって本気の恋しかしないっすからー!!」
指原が大きな声で日向に向かって怒る。
「なんだとー!?俺が偽りに染まった薄汚ねえ恋しかしてないっつうのかー!?」
カチンと来た日向もキレ気味に指原に突っかかる。
「ちょ、ちょっと二人とも落ち着いて…」
日向と指原の間にいる柏木と麻友がお互いをなだめる。
「スベリまくり男!」
「なんだとー!ヘタレ泣き虫女!」
小学生並の喧嘩をしだした日向と指原を見たゆりと玲奈は
「くぉらあああああぁああああ!!てめえらケンカするなああああああああああああああああ!!」
「いい加減にしなさあああああああああああああああああああい!!!!!!!!!!」
ほぼ同時に叫ぶように怒り出した。
―ガタン
天使、かなでが席を立ち、教室を出ようとする。
「あーーーーーーーーー!立華ちゃん!ぱるるが次のテストの範囲なんだけど、こことここがわからないからみんなで話し合いしてて、なかなか答えが合わないから玲奈ちゃんとゆりちゃんがモメてたんだ!立華ちゃん、よかったら教えてくれない!?」
珠理奈が高速移動をしたかのように立華の前に立ち、適当な話をしてごまかす。
「ここは、こうで、ここがこうよ。」
かなでは指差して、珠理奈に教える。
「あっ、そうなんだ!立華ちゃんありがとう!!うるさくしてごめんね!もう静かにするからね!」
珠理奈は感謝して、うるさくしたことを謝ると笑顔になる
「テスト、がんばって」
かなではそう言うと、席についた。
「ありがとう!」
珠理奈はそういうとゆりたちの場所へ戻る。
「ごめん珠理奈、ありがとう…」
「ごめんなさいね」
二人そろって謝る玲奈とゆり。
「あ、ゆりちゃん次の解答はどうする?」
玲奈は話を作戦に戻してゆりに尋ねる。
「教科はなんだっけ?」
「英語」
「じゃあ全部カタカナで書いといて!」
ゆりは玲奈にそう指示した。
―キーンコーン カーンコーン
「じゃ、後ろから集めて」
教師が後ろからテストの回収しろと伝える。
それと同時に
「立華かなでさん!!」
大きな声を出して立ち上がり、
「こんな時に場所も選ばずごめんなさい!あなたのことが初めてあったときからずーっと大好きでした!付き合ってください!」
指原は目を瞑ったままそのまま叫ぶ。
「じゃあ、時と場所を選んで。それに女の子に告白されても困るわ。」
かなでに一刀両断される指原。
「そこ、座れ」
「……はい」
しょぼんとした顔で座る指原。
「あ~あ、やっちまったな…と」
日向が左手を頭にあて、一息つく。
その時だった。
「ぐはぁぁああ!?」
日向 が 座っているイスが吹き飛び、天井に激突した。
一般生徒の視線は日向に行く。
そのスキに玲奈は、答案用紙をすり替えた。
そしてまたまた休憩時間。
