風神秘抄
荻原 規子
風神秘抄
ずっと森博嗣ワールドから抜け出せずにいたはずなのに、読んでみたらすんなりと、いつしか夢中になって読んでいました。さすがというか…やっぱり改めて荻原さんすごいなぁ、と思わされ。
なんというか、読みやすかったです。西の善き魔女とか樹上のゆりかご、勾玉三部作にこれは王国のかぎ、全部読んだけど、一番読みやすかったんじゃないかな?一瞬、そう思うのは私が読書歴を積んだ賜物なのか?とも思ったけど、やっぱりそれを抜きにしても読みやすい気がします。
あんまりこう、陰謀とか策略とかドロドロとか(あるにはあるけど)なく、人間関係が割とさっぱりして、でもつながりは強い、みたいなところがあったように思えます。
舞台は戦争の最中にあるにもかかわらず、主人公は話の初っ端から落ち武者になり、戦争から離れて話しが進むのも、読みやすかった要因のひとつかも。(戦争の話はどうも読み進めにくさが私にはあります;)
そしてなんというか…やっぱり、こういう男の子に弱いんだなぁと思わされました。
頭が固くて無愛想で女の子にうといくせに、恋に目覚めると人が変わったように純粋にまっすぐに相手を思うことしかできなくなっちゃうような不器用な人。
先月読んだ「女ぎらいの~」のセインしかり、童話物語のルージャンしかり、フルバの夾くんしかり。(笑)
性格は全然違えど、性質に似通ったところが見られるのは気のせいではないはず。
そんな恋する少年が主人公だったことも、夢中で読めた要因のひとつではあったんですが、ちょっと、ヒロインの糸世が、インパクトある子ではありながらも弱かったかなと思えてなりません。
草十郎の視点でしか物語が進まないために、最初から最後まで「女の子は不思議な生き物」に留まってしまっているのはちょっと残念。(それはそれで面白いけど)
糸世だけでなく、鳥の国の三姫も同様に。
そうそう、空色勾玉でおなじみの鳥彦に由来する烏と草十の掛け合いも楽しいです。空色~の鳥彦よりちょっと子供っぽいというか純粋無垢なところがあるかな、と思わないでもない。かわいくて頼もしかったです。