本日は物流業界について書いてみたいと思います。

現在物流業界では人材不足が生じています。それは主に下記の2つの理由によるものです。

①ネット通販の普及による輸送量の増大

アマゾンや楽天を始めとしたネット通販の普及により10年前と比べて輸送量が約3割増加しているそうです。

②トラック運送業界の低賃金化

市場では送料無料が恒常化し、輸送費を買い叩く風潮が強く、以前と比較してトラック運転手の賃金が低下している傾向があります。
その結果若い方たちがトラック業界を選ばずに、50代が約3分の1を占めるといった高齢化が進んでいます。

このような現状で大手のヤマト運輸、佐川急便、日本郵便は各々異なる戦略をとっています。

・ヤマト運輸の取組み:再配達割合の低下による配送業務の効率化

B to Cの配送にとって、顧客が不在時には再配送を行わなければならず、非常に配送効率が悪化します。
この再配達割合を減少させるために、ヤマト運輸はこれまで宅配員がこれまで暗黙知として保有している地域別の在宅傾向を形式知化し、顧客が在宅している確率が高い時間帯を狙って配送を行うようにしているようです。
例えば、早朝に在宅率が高い地域には、早朝に人員を集約させ宅配を実施する、といった取組みを実行しています。

・佐川急便の取組み:B to Bに特化した効率的な配送案件への注力

佐川急便はB to Cの配送ではなく、より収益性の高いB to Bへのシフトを行っています。
具体的にはAmazonから購入者への請負をやめ、メーカーからインターネット業者への配送を取りに行く、といったことを行っています。
これはB to Bであれば再配達も基本的には生じず、大口のトラックで集約して大規模な輸送をできるため、非常に効率の良い配送が実現できるというわけです。
もちろん、B to Bの業者として選んでもらえるために、荷物を受け取った企業が商品を分類しなくていいように、佐川が商品のカテゴリ別に予め分類した上で荷物を届ける等の工夫を行っています。

・日本郵政の取組み:自社の遊休資産の活用

日本郵政はもともと官であったことから好立地に大規模な施設を有しているところが強みと言えます。
好立地のうち、遊休になっている部分を活用し、他の企業のロジスティックス関連施設として活用してもらう等、自社資産の有効活用に努めているようです。


上記のとおり、厳しい環境の中で各々独自の路線で戦っている宅配業界は今後も注目していきたいと思います。

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