子どものころから思っていた。

 

こんなにも辛くて苦しい思いが

ずっと続いているのだから

 

その分きっといつか

大人になったら

 

救われる

報われる

楽になれる。

 

けれど大人になっても

辛くて苦しくて息ができない。

 

もしかしたら楽になれる日は

来ないのではないか。

 

薄々そんなことに

気がつきはじめていた。

 

そして大人になって歳を重ねて

もうひとつの真実に

気がつきはじめている。

 

本当はもっととんでもない

苦行が待っていたかもしれない

大人になってからの毎日。

 

本来はギリギリ乗り越えることなんて

できないようなとんでもない

 

苦行が待っていたかもしれない

大人になってからの人生。

 

子どものころにさんざん

ありえない苦行を強いられて

 

その中で生きるしか

なかったことによって

 

これでも苦行が少しだけ

軽めになっているのだとしたら。

 

だとしても。

 

あのころの苦行を

あの年齢でしていたことを

 

「それでよかった」なんて

絶対に言えない。

 

子どもだった自分にも

「そこを乗り越えることで…」なんて

絶対に言えない。

 

苦行の話。